見滝原保育園
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いるところを見られることはないだろう。
『グリフォン ゴー』
コウスケにも同じように魔法陣を錬成。組み上げられたグリフォンの使い魔へ、指輪を取り付ける。
「頼んだぜ」
グリフォンと合流したクラーケンが、ともに保育園へ飛んで行く。使い魔たちが保育園の中に飛んで行くのと入れ違いに、丁度祐太が保育園の出入り口から出てきた。
「あ! 祐太! ひなちゃん!」
その姿を認めるや否や、暗かった香子の表情がぱっと明るくなる。
同時に、祐太が手を繋いでいる女の子、___彼の膝くらいの背丈の子で、確かに以前ハルトが大学で保護した記憶がある___が香子へ手を振っている。
この子が、祐太の姪であるひななのだろう。
だがよたよたとした足取りのひなは、ハルトやコウスケではなく、香子へ歩み寄ってくる。
「こーたん!」
香子はすさまじい笑顔でぎゅっとひなを抱きしめた。
「ひなちゃん! 私のこと覚えてくれたのね! 嬉しい!」
「こーたん! すきー!」
「こーたんもー!」
舌足らずな愛情表現に、香子は興奮していた。やがて、むぎゅうっと効果音が聞こえてきそうなほど強く抱きしめた香子は、祐太が止めるまで抱擁を止めることはなかった。
「ひな。こっちのお兄さんたちにもこんにちはしような?」
ひなの肩に触れながら、祐太は姪っ子をハルトたちに向ける。
ひなは不思議そうにハルトとコウスケの顔を見上げていると、祐太がひなの頭を軽くたたいた。
「ひな。挨拶できるかな?」
その言葉でひなは自らが行うべきことを理解したように、ハルトたちへ頭を下げた。
「ひなだお! ちわー!」
「こんにちは」
ハルトはしゃがんで挨拶に応じる。
「ちょっとだけお話したこと覚えてるかな? ハルトだよ。よろしくね」
「はーたん!」
「そうそう。はーたんだよ」
確かにハルトという名前は難しいだろうか、とハルトが逡巡していると、隣のコウスケも勢いよくしゃがんだ。
「オレはコウスケだ! はーたんにおいたんにこーたんだから……あれ? オレもこーたんか? オレもこーたんって呼んでくれ!」
だが、勢いよく自己紹介をしていったコウスケは、どうやらひなには恐怖の対象となったらしい。目をわなわなと震わせ、祐太の足元へ駆け戻り、しがみつく。
それを見た香子が、コウスケへ怒鳴った。
「怖がらせてるじゃない!」
「なぜだ!? 前は怖がられなかったぞ!」
「あの時はコウスケが連れて来た子がいたからじゃない?」
ハルトは無意識に追い打ちを放った。
彼はショックを受けたような顔でハルトを、香子を、そして祐太を見る。
「お、オレそんなに顔怖いか!?」
「ど、どうだろうな?
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