見滝原保育園
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と頷いた。
「ティッピーって看板ウサギがいるね。非売品」
「ウサギがいるのか? 店内で?」
祐太が耳を疑う様子を見せる。
「基本は店員のもとにいるから、客に触らせてないけどね。言ってしまえば放し飼いかな」
「それ、衛生的にどうなの?」
香子は眉を吊り上げた。
「詳しいことは俺も聞いていないなあ。……なんでティッピーってうちにいるんだろ
コウスケに言われて、ハルトは改めて思い返す。
時折高齢男性のような声を上げるあのウサギは、果たしてただの飼い兎なのだろうか。
「着いた着いた」
そう疑問を抱いているハルトたちを、祐太の声が呼びかけた。見れば、すでに彼の目的地である見滝原保育園に到着していた。
敷地の中心には白く清潔感がある建物が見えるが、その周囲はコンクリートの塀に囲まれている。建物に比べて壁が新しく見えるのは、昨今の安全への懸念なのだろう。大きくパステルカラーで彩られた『見滝原第一保育園』の文字は、夕焼けを反射して輝いていた。
「じゃあ、ひなを迎えに行ってくる。ちょっとここで待っててくれ」
祐太はそう言って、塀の一角にある出入口へ走っていった。
不審者を弾くためのセキュリティに関心しながら、ハルトはじっと保育園の看板を
見上げる。
「なあ、ハルト」
「何?」
「間違っても今度はガキの中にマスターがいる、なんて言い出さねえよな」
「……無いとは言えない」
ハルトは頭を抱えた。
様々なイレギュラーが重なっていたとはいえ、一歳児の背中に令呪が刻まれた前例が記憶に強く刻まれているのだ。生まれたての赤ん坊でも、魔力が高ければマスターに成り得る可能性がある。
「……いい機会だから、使い魔に保育園の中を見てもらおうかな。ついでに職員にも参加者がいるかもしれない」
「保育園職員が参加者とか、それも割とシャレにならねえな」
「……今回の調査は、本気で無駄足であることを祈るよ」
ハルトはそう言いながら、ホルスターから指輪を取り出す。
隣で同じく祐太を待っている香子がコウスケの影に隠れて見えないように位置を調整しながら、ハルトは魔法を発動させた。
『クラーケン プリーズ』
黄色の魔法陣とともに、ランナーが瞬時に組み上がっていく。
それはタコの形に組み上げられていく。最後に指輪を頭部に設置し、それはイエロークラーケンとして動き出した。
「今手元にいる使い魔はコイツだけだ。コイツに探索させる」
「ほーん……オレもグリフォンに任せるか」
そう言いながら、コウスケもまた指輪を発動させる。彼が指輪を取り出したところで、ハルトはコウスケと立ち位置を入れかえる。
これで香子が不意にこちらを向いても、コウスケが使い魔を召喚して
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