九十 めぐりあい
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ったものだとヒナタにはすぐにわかった。
ナルはナルで、七班であるサスケとサクラが里抜けしたのは少なからず自分にも責任があると思いこんでいる為、何の関係もないヒナタを巻き込むわけにはいかないと決意していた。
「オレに任せてくれってばよ」
そう言い残し、オモイとカルイに人気のない場所へ連れて行かれるナルの後ろ姿を、ヒナタは心配そうに見つめた。
一緒に行きたかったが、ナルの有無を言わさぬ偽りの笑顔と覚悟に気圧されてしまい、一瞬、地面に足が縫い付けられてしまったかのように立ち竦んでしまう。
けれどすぐさま「み、皆に知らせないと…っ」とヒナタは地を蹴った。
大丈夫、となにもかも自分ひとりで背負おうとするナルを放っておくわけにはいかない。
カカシ、或いは賢いシカマルならどうにかしてくれる、と期待を抱いて、ナルが連れていかれた場所を【白眼】で把握すると、ヒナタは急ぎその場から離れる。
一方、人気のない場所へ連行されたナルは折しも、かつて初めて【多重影分身】の術を習得した小屋に連れて来られていた。
地面に何故か火事の痕が残る其処で、カルイはナルを小屋の壁際へ強引に押さえつける。
「さて…では早速、サスケについて詳しく話してもらおうか」
しかしながら、顔を伏せて思い悩んでいたナルはやがて、強い決意を秘めた眼でカルイを見返す。
空のように吸い込まれそうな青い双眸に、一瞬、気圧されたカルイは直後、ナルからの否定の言葉に青筋を立てた。
「…ごめん…やっぱりサスケを売ることはできないってばよ…」
「…っ、てめえ、今更…ッ」
額に青筋を立てたカルイが益々、ナルを小屋の壁に乱暴に押さえつける。
喉元を腕で押さえつけられ苦しげに喘ぐも、それでも無抵抗のままナルは唇を噛み締めた。
本当はナルの今の力ならば、こんな腕など振り払える。
仙人モードになればあっという間に蹴散らせる。
けれど彼女は何の抵抗もないまま、されるがままに、あえてカルイの暴行を受けていた。
「憎しみに任せてサスケに復讐しちまったら、今度は木ノ葉が雲隠れに復讐しちまうかもしれねぇ…やったらやり返す。その繰り返しが始まり、戦争になっちまうかもしれねえ…!」
今ならわかる。ペイン六道の本体であった長門の言葉が。
憎しみの連鎖。
その連鎖を断ち切るためにも、ナルはこの場で身体を張って、オモイとカルイの憎しみを自ら受け止めようとする。憎しみの連鎖を断ち切ろうとする。
けれど、頭に血が上ったカルイは、そんなこと知ったことではない。
「ふざけんな…ッ、都合のいいことばっかり抜かしてんじゃねぇ…!!」
サスケへの怒りと憎しみ、憎悪と恨み。全てを目の前のナルにぶつける。
思いっきり拳
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