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渦巻く滄海 紅き空 【下】
九十 めぐりあい
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タでお世話しつつも、そのお花をナルになかなか返せず仕舞いだったので、ようやくナルに預かっているお花達のことを話せてほっと安堵していた。



「また近いうちに取りに伺うってばよ」
「う、ううん…悪いよ。私が持っていくよ…」
「お世話してもらっておいてそこまでは頼めないってばよ」

お互いに優しさの押し付け合いをしているナルとヒナタの良い子っぷりに癒されていたカカシだが、直後、突如知らされた報告に顔を引き締めた。



「いた、いた!おいっ!ナル!」

赤丸に乗って急いで駆けてきたキバが、ナル・ヒナタ・カカシを呼び止める。
何事か、と振り返ったナルに向かって、焦った表情でキバは叫んだ。

「いいか…落ち着いて聞けよ!綱手様が火影を解任された」
「え…っ!?」
「俺も詳しくは知らねぇが、赤髪の見慣れない奴が教えてくれたんだ。嘘をついている匂いはしねぇし、臨時の火影室であるテントから出てきたから、たぶん間違いない」


赤髪の見慣れない奴というキバの言い分にどこか引っかかるものを覚えて、ナルは眉を顰める。


「六代目はダンゾウって奴らしく、その六代目は抜け忍として――」

けれど矢継ぎ早にもたらされる衝撃の事実に、ナルが口を挟む暇はなかった。
何故なら酷く焦った顔でキバが更なる衝撃的な事実を告げたので、それどころじゃなかったからだ。




「──サスケを始末する許可を出しやがった」
「……ッ!?」

あまりにも衝撃すぎて、言葉を失ったナルはしばし立ち尽くした。
ややあって、正気を取り戻し、「な、なんでだってばよ!?」と詰問するが、キバとてそれ以上の情報は得ていない。
呆然とした後、怒りのままにダンゾウへ直談判しようとするナルを「落ち着け」とカカシはすぐさま引き留めた。


「いきなり怒鳴り込んでも何の解決にもならないよ。冷静になれ」
「冷静になんてなれっかよ!サスケに手は出させねぇっ!会って話をつけてくるってばよ」

どう見ても冷静じゃないナルの変わり様は、先ほどまでヒナタとお花談義をしていたとはとても思えない。


確かに抜け忍は抹殺するのが定石。
サスケと共に里を抜けたサクラは、途中で連れ戻されたが今は木ノ葉の里の何処にいるのかカカシでさえ見当がつかない。
綱手だから穏便に図らってくれただけで、ダンゾウの言い分は忍びとしては正しい。


だが、かつて五代目火影の椅子を狙ったダンゾウから身を粉にして火影の座を守ったサスケの頑張りを、カカシは見過ごすことができなかった。
以前も綱手が火影に就任するまでの間を狙って五代目火影の座に就こうとしたダンゾウの思惑を、奮闘したサスケのおかげで阻止することができたのだ。
その頑張りを無駄にするわけにはいかない。


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