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渦巻く滄海 紅き空 【下】
九十 めぐりあい
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衝突していた危険人物。
綱手がいない今、会いたくない相手の登場に青褪めていたシズネは更なる発言に益々血の気が引いた。

「…サスケか…やはりこうなったか」


うちはサスケが大蛇丸のもとへ送りこまれた木ノ葉のスパイだという真実を知る者は少ない。
五代目火影たる綱手とシカマル、そして風影の我愛羅。
小数しか知り得ない事実はたとえ裏の人間であるダンゾウも気づけない秘密裏な情報だった。
それが今回は裏目にでた。


サスケを始末する許可を下したダンゾウの発言を耳にして、部外者のふりを装っていたアマルはビクリ、とトントンを抱き締める力を更に強くする。
もがき苦しんでアマルの腕からたまらず飛び出したトントンを追い駆けるふりをして、アマルはテントから出て行った。

配下である【根】の忍びがアマルを追おうとするのを、ダンゾウが「捨て置け」と止める。


「どうせすぐに広まる話だ。今までの火影のやり方が手緩かった報いを受けねばならぬ」

普通、抜け忍は抹殺するのがセオリー。
穏便にはからっていた綱手の甘い考えを根本的に叩き折らねばならん、とダンゾウは眼光鋭く、木ノ葉の未来を案じる。



「新たな火影として、うちはサスケを抹殺対象とする」


やり方はどうであれ木ノ葉の里を大切に守ってきた忍びの闇にとって、抜け忍であるサスケは里の害でしかなかった。












「そっか。ヒナタがお世話してくれてたのか。ありがとだってばよっ」
「う、ううん…私こそ勝手にお世話しちゃってごめんね」

大工の仕事があるから、とタズナとイナリとは別れ、木ノ葉丸も仲間であるウドンやモエギに引き摺られて行ったので、今や、この場にはカカシとナルとヒナタだけである。
ナルとヒナタを微笑ましげに、しかし若干、女の子ばかりなので居心地悪そうに後方から眺めるカカシをよそに、彼女達は楽しげにお花談義に花を咲かせていた。


以前、中忍本試験に挑む前に【口寄せの術】を修得しようとしてチャクラ切れで入院した際に、ナルの病室にはいつの間にか色取り取りの花々が花瓶いっぱいに飾られていた。

その花を種類ごとに鉢植えに移し替えて丁寧に育てていたのだが、急な任務や長期で里を離れる際に、ナルは毎回、いのにお花のお世話を頼んでいたのである。
いのはお花屋さんのエキスパートだ。安心して任せられる。

ちょうど自来也と綱手を捜す旅に出かける際も、いのにお花を預けておいたのだが、なんせ数が数だ。
ヒナタからの申し出もあって、半分ほどの鉢植えを彼女にお願いしたといのから聞いて、ナルはいずれお礼を言わねば、と思っていたのだが、任務続きやら色々大変な時期が重なり、なかなか謝礼を述べられなかったのである。

ヒナタもヒナ
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