九十 めぐりあい
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かつては海運会社のガトーに乗っ取られ、大名ですら金を持っていないほど貧しかった小国である。
悪徳組織の長でもあったガトーに海運を独占されていた波の国民達は、遮断されている物流を活発化させる為、橋の建設を試みた。
波風ナルの活躍によって、ガトーから自らの国を取り戻した島民は、今現在島と大陸を結ぶ橋を無事開通させ、今では活気づいている豊富な水と緑に恵まれた国だ。
故にナルを始めとした木ノ葉の忍びには大いに恩義がある波の国の大工達は木ノ葉の危機を知って急いで駆け付けてくれたのだ。
見違えるほど大きくなったイナリに喜び、タズナとの再会に笑顔を取り戻したナルを見て、ヒナタは内心、ほっと胸を撫で下ろす。
いつも元気で明るいナルに憧れを抱いていた彼女は、大好きなナルが少しでも笑顔になってくれることがなにより嬉しかった。
「あれ?もうお着きになったんですか?」
波の国からのありがたい助っ人が到着したことに気づいたカカシがタズナに近づく。
前以て波の国から援助に来てくださると連絡は受けていたが、こうも早く木ノ葉の一大事に来てくれるとは。
「おお、カカシ!」と以前世話になったカカシの姿を認めて笑顔を浮かべたタズナだが、直後怪訝な顔で周囲を見渡した。
「サスケとサクラはどうした?あいつらとも挨拶したいんじゃがの」
タズナの質問に、気まずい顔でカカシはちらり、とナルに視線をやる。
途端に顔を伏せたナルに、おろおろするヒナタを視界の端で捉えて、カカシはなんとか誤魔化そうと視線を泳がせた。
「じ、実はその…サスケとサクラは…」
「ふたりならっ!」
だがカカシの言葉を遮ってナルがわざと明るい声をあげながら顔を上げる。
無理に笑顔を模って明るく振舞っているナルを、気遣わしげにヒナタは窺っていた。
「サスケとサクラちゃんなら、今ちょうど里外へ任務に出かけちゃっててさ…!また帰ってきたら挨拶してやってほしいってばよっ」
「そうかい。残念じゃのう」
ナルの話を聞いて頷いたタズナがイナリと顔を見合わせる。
なんとなく触れてはいけない雰囲気を感じ取って、彼らはそれ以上、踏み込んではこなかった。
「それより本当におっきくなったな、イナリ!」
ナルに頭を撫でられ、若干頬を染めながら「ね、姉ちゃんはその…お、女っぽくなったな…」とぼそぼそとしたイナリの呟きを、どこからともなく拾った木ノ葉丸が「あ――――っ!!」と大声をあげながら指をさす。
ナルに頭を撫でられている場面を目撃して、なんとなく面白くない木ノ葉丸はズンズン、とイナリに近づくと、ふんっと鼻を鳴らした。
いきなり睨みつけられ、ムッとしたイナリが「…なんだよ」と眉を顰めると、木ノ葉丸は「おまえこそなんだよっ」と鼻息荒く指差した。
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