九十 めぐりあい
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を易々と連れ帰る男など言語道断。お尋ね者を連れ帰ってきたその責任を取らずして何が火影か。火影になる以前に、こやつには大蛇丸を監視する義務がある」
うぐぐ、と苦虫を噛み潰すような表情で自来也はダンゾウを睨む。
意趣返しとばかりにわざと余裕ぶった笑みを浮かべ、自来也は「よく言うのう」と口角を吊り上げた。
「大蛇丸を自分の部下として散々扱き使ったくせに、散々な物言いだの」
「はて?聞き捨てならぬな。そういうおまえは、里を潰した『暁』のリーダーの師匠だったようだな」
ペイン六道の本体である長門が自来也の弟子だったと調べ上げている【根】の創始者は、自来也の反論を一笑に付した。
「他国に同情し、戦力を与えた結果がこれだ!三代目の弟子である貴様の弟子が里の壊滅を許したのだ。三代目の甘い教えが里を潰したも同然」
「…ッ、三代目は関係なかろう!」
三代目火影の猿飛ヒルゼンに矛先を向けられ、たまらず立ち上がった自来也がテーブルを強かに打つ。
三忍の威圧に他の面々は一様に身体を強張らせたが、当の本人は鼻を鳴らしただけだった。
「――それならば、はたけカカシを推薦する!」
ダンゾウに一手を取られる前に、今まで機を窺っていた奈良シカクが声高らかに発言する。
よくやった、と満足げに目配せする自来也に反して、ダンゾウはギロリ、とシカクを睨んだ。
「ほほう。あの“白い牙”の息子かえ」
はたけカカシの父も有名な忍び故に、乗り気になった大名が他の面々の意見を聞く。
「名声も力も徳もある」「しかしまだ若すぎるのでは」「四代目火影のほうが若かった」と他の大名の面々が口々に頷き、ダンゾウの威圧で張り詰めていた空気が若干緩んだ。
「四代目は自来也の弟子で、自来也は三代目の弟子であったの。問題ないではないかえ」
身を乗り出してカカシを火影に任命しようとする大名に、ダンゾウは鋭く待ったをかける。
それは一般人に向けていいはずもない威圧感で、忍びの厳しさを知らない世界でぬくぬく生きてきた大名には耐えがたいものだった。
ビクリ、と身体を強張らせた大名に対し、ダンゾウはあえて至極丁寧に言葉を紡ぐ。
「今しがた述べたはずですが…?自来也の弟子が里を壊滅させたのだと…!」
感情を押し殺した声の響きには自分以外は認めないという頑なな意志が窺える。
言葉を噤んだ大名の顔触れを見渡しながら、ダンゾウは冷徹な視線を自来也にだけ注いだ。
「どちらにせよ綱手には里を壊滅させた責任・自来也には抜け忍を監視する義務・大蛇丸に至っては論外だ」
立ち上がる。杖をついているわりに、しっかりと背筋を伸ばした男はとても老齢とは思えない。
「三忍の時代は終わった。今こそ必要な火影とは…」
カツン、
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