第二幕その十
[8]前話 [2]次話
「ウィンキーは今僕達が暮らしている国だからね」
「よく知ってるよ」
そのウィンキーの皇帝である樵が応えました。
「本当にね」
「そうだね、道もね」
「交通手段だってね」
「よく知っているよ」
「そうだね」
「まさにね」
それこそというのです。
「すぐにだよ」
「彼等のところに行けるね」
「うん、ただね」
ここで、でしだ。樵は少し困った様な顔になってかかしに言いました。
「皆オズの国の市民でウィンキーのそれだから」
「ああ、ドロシーにも君にもね」
「しかもどの人も礼儀正しいからね」
「物凄く恭しくね」
「君に会うと挨拶するね」
「そのことがね」
どうにもというのです。
「困るよ」
「そうだね」
「うん、僕としてはね」
「砕けて欲しいね」
「礼儀作法は大事でも」
それでもというのです。
「そんなに畏まらなくてもだよ」
「いいね」
「そういえば今回お会いする予定の人達は誰もが礼儀正しいね」
ジャックも言われて気付きました。
「そうだね」
「僕は確かに今は皇帝だけれどね」
樵はジャックにも言いました。
「けれど元々は」
「樵さんだよね」
「普通のね、そして今だってね」
「樵さんだね」
「身体はブリキのものになって」
そうしてというのです。
「皇帝になったけれど」
「君は君だね」
かかしが笑顔で言ってきました。
「そうだね、僕はかかしでね」
「そう、樵だよ」
「そのことは変わらないね」
「変わる筈がないよ」
それこそというのです。
「オズマやドロシーみたいにね」
「そう言う私だってカンサスの娘よ」
今度はドロシーが笑って言いました。
「何か神様みたいにね」
「恭しくして欲しくないね」
「幾ら礼儀正しい人達でもね」
「そうよね」
「そう思うよ」
「そうだね、しかしどの人もね」
かかしはお会いする人達のことをお話しました。
「ちゃんとした立派な教育を受けてきたから」
「それでなのね」
「そう、だからね」
ドロシーにその為にと言います。
「僕達はこう思っていても」
「それでもよね」
「礼儀作法を身に着けていると」
「それが出るのね」
「いい意味でね」
「いい意味なのね」
ドロシーはかかしの今の言葉に目を瞬かせて尋ねました。
「そうなの」
「そうだよ、やっぱり礼儀正しいなら」
かかしはそれならと答えました。
「それに越したことはないよ」
「そうなのね」
「だからね」
「いい意味になるのね」
「そしていいことにね」
そうもというのです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ