第30話:武士道VS死人使い
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指差した方を視ると、グロブが他のエルフに向かって攻撃魔法を行おうとしていた。
「おい!アイツヤバいだろ!?」
だが、セツナは冷静だった。
「引き籠り過ぎたな素人さん?アイツの顔を良く観て視な」
顔って、そんな事を言ってる場合じゃないわよ!
このままだと、アイツの攻撃魔法がこの里を襲ってしまう!
「ツキツバぁー!こっちを見ろぉー!」
え?
アイツ、焦ってる?
「ツキツバは見抜いていたのさ。グロブが転送魔法で何度も逃げながらグレムリンを何度も復活させたその真意を」
真意?
一体どう言う事?
が、そんな困惑しながら焦る私を翻弄するかの様に、セツナは冷静に勿体ぶった。
「説明が聞きたそうだな?」
「馬鹿かお前!そんな事をしている場合じゃないわよ!それくらいは視れば―――」
「それだと、ツキツバがグロブの転送魔法に翻弄されるだけだぜ」
「じゃあどうしろと言うの!?」
「聞きたければ……素直に訊きな」
なんか……腹が立ってきたな……
「貴方達、やはりこの里の敵の様ね!」
すると、私を馬鹿にする様に呆れながら説明する。
「普通逆だと思わないか?何故敵に逃げられた時に焦る?いくら転送魔法が得意だからってのもあるが、ツキツバに何度も斬られそうになった時は全然焦ってなかった。寧ろ、グロブを斬ろうとしたツキツバをグロブは小馬鹿にした。それってつまり、グロブの作戦はツキツバが何も考えずにグロブに斬りかかるのを想定したものだった」
「え?」
敵に襲われる事を想定して作戦を立てる?
「ま、住処を死守するだけで勝てる戦いを繰り返してるだけのアンタらには解らないでしょうね?卑劣で残忍な追撃者の考えなんて」
「つ……追撃!?」
えーーーーー……っとぉー……どう言う事だ?
「つまり、グロブにとって、ツキツバが生きてこの窮地を脱する事が敗けなんだよ」
「何?敵を追っ払って逃げる背中を拝む事が敗北に繋がるだと?」
……やっぱり、言ってる意味が解らない……
「敵が逃げてくれる事は、非常に喜ばしい事の筈だろ?」
「それは、拠点を防衛している時や敵に追われている時の話。ツキツバを殺す事しか考えてないグロブにとっては、ツキツバを取り逃がす事こそが想定外の展開なんだよ」
それってつまり……狩りで獲物を取り逃がす時の悔しさの事を言っているのか?
だとしても……
さっきまでグロブがいた場所を見て……やはり私は理解不能となった。
「獲物を取り逃がした悔しさにしては……アイツ、焦り過ぎではないのか?」
すると、セツナは大笑いした。
「その焦り、追い詰められて後が無い殺し屋にしか理解出来ないでしょうね」
めぐみんperspective
やはりおかしいと思っていたのです。
あのツキツバが一目散に逃げ出すなんて、天地がひっくり返っても
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