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星河の覇皇
第八十七部第三章 港の整備その十九

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「そうだが」
「あの方はそうですね」
「それでご子息もな」
「将来はですね」
「軍人にされるとだ」
 その様にというのだ。
「閣下も言われているが」
「タンホイザー家はですか」
「そうした家ではないからな」
 軍人の家ではないからだというのだ。
「そうした。私も実は音楽家になる道もだ」
「おありでしたか」
「幼い頃はフルートを吹いてだ」
 そうしてというのだ。
「コンクールでも優勝した、だが適性検査でな」
「各職業のそれで」
「私は軍人それも戦術面でだ」 
「傑出したものがですか」
「天才とまでだったらしい」
 その才能はというのだ。
「それが見付かりな」
「軍人になられましたか」
「不思議と軍事関係は少し目にしただけでだ」
 まさにそれだけでというのだ。
「自然と身に着いた、そして士官学校に入り」
「軍人になられた」
「そして今に至る」 
 家の代々の仕事があるがエウロパでは適性検査が重要でもあるのだ、これを見て職業を決めることも多い。
「家は他にしてくれる人もいるしな」
「ご一門で」
「だからな」
「軍人になられたので」
「子供はな」
「軍人にならずとも」
「いい」
 こう言うのだった。
「特にな」
「左様ですか」
「その様にな、タンホイザー家は武門の家ではない」
 決してというのだ。
「それならだ」
「では」
「まずは産んでくれ」
 その子供をとうのだ。
「そして二人共な」
「無事でいることですね」
「母も子もな」 
 その両方がというのだ。
「それが第一だ、あとだ」
「あと、とは」
「これは細君に今言うことだが」
 タンホイザーは一呼吸置いてから妻に話した。
「我が家では代々遺伝がある」
「その遺伝は」
「実は時折指が多いのだ」
「指が」
「そうした者が生まれる」
「多指症ですね」
「それがある、手や足のな」
 その指がというのだ。
「多い場合がある、だがそのことはな」
「指が多くとも」 
 それでもとだ、エリザベートは夫にどうかという顔で返した。
「これといって」
「何もないか」
「そうでは」
「時折それを忌む者がいるからな」
「奇形ですか」
「そう言ってな、だが細君はそのことは」
「何か問題がありますか」
 夫に逆に問うた。
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