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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第222話:悪魔の取引
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女だけではない。ベルゼバブの行動にはその場の誰もが嫌悪し怒りを抱いていたのだ。
卑劣な手段である事は間違いないが、同時にこれ以上彼らにとって有効な盾も存在しない。これでは颯人達は迂闊に手出しする事が出来ないのだから。
「さて、先ずは全員武装解除してもらおうか。話はそれからだ」
「……チッ」
流石にあの状態では迂闊に手出しも出来ない。仕方なく颯人は舌打ちしつつも変身を解き、奏達もそれに倣う様にギアを解除していった。
これで脅威となる者は居なくなった。そう確信したベルゼバブは、次に未来と奏の身柄を要求した。
「では次だ。小日向 未来、そして天羽 奏。お前達はこちらに来い。勿論、抵抗すればこの女の命は無い」
「何でッ!? 何で未来をッ!?」
「ゴチャゴチャうるさい、さっさと来るんだ! さもないとコイツに自分で首を切らせるぞ?」
何故未来が狙われるのかが分からない響の抗議にも耳を貸さず、ベルゼバブは未来の身柄を要求し同時にミラアルクを操って首筋に当てた爪を少し食い込ませた。爪は僅かにだが彼女自身の首の皮を裂き、傷口から血が滲み出る。にも拘らず本人は微塵も痛みや恐怖を感じている様子が無いその異様さに、響は狼狽えベルゼバブと未来、奏達を何度も交互に見た。
そんな彼女を他所に、未来は静かに前に歩き出す。それを見て響は咄嗟に彼女を引き留めた。
「ま、待って未来、駄目だよッ!? あんな奴らの言う事なんて聞いちゃ……」
「だが、このままだと彼女が……」
未来を必死に引き留めようとする響ではあったが、ミラアルクが人質に取られているという翼の言葉にそれ以上何も言えなくなる。響だって別にミラアルクを見捨てたい訳ではないのだ。だがそれ以上に未来の事が大事で、彼女を危険に遭わせたくないと言う想いが強かった。それ故に引き留めた訳だが、意外な事に未来本人は驚くほど落ち着いた様子だった。
「大丈夫だよ、響」
「大丈夫って、何でそんな……」
「だって、響が助けてくれるでしょ?」
「え、ぁ……」
曇り鳴き目で見つめられながらそう言われて、響も言葉を失った。よく見れば未来の手先は僅かに震えている。怖いのだ。本当は逃げ出したいが、ミラアルクを見捨てる様な事になれば響が気にするだろう事を考えて未来はその身を差し出す事を選んだ。それが出来るのは、響が助けに来てくれると信じているからである。
愛するものが助けに来てくれると信じているのは、未来だけの話ではなかった。同じく身柄を要求された奏もまた、颯人が助けに来てくれることを信じて恐れずその身を差し出す事が出来た。
「颯人、翼……待ってるからな」
「奏……!?」
響にはああいった手前、翼は自身も奏を引き止めたくなるのを堪えた。だが頭では理解していて
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