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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第222話:悪魔の取引
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ルゼバブの弱体化にも用いられていた為、結果的にベルゼバブの魔法は不発に終わり何も出来ずに強烈な一撃をその身に喰らう事となった。

「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 颯人のストライクウィザードをまともに喰らい、崩れかけたビルに叩き付けられるベルゼバブ。その衝撃でビルは完全に倒壊し、ベルゼバブはその下に下敷きとなってしまった。

 崩れた建物の下敷きとなったベルゼバブの様子を見て、颯人は少しやり過ぎたかと思わず後頭部を掻いた。

「やべ……流石にあれは不味いか? いや、変身が解けていなければまだ何とか……」

 敵とは言え、むやみやたらに命を奪う事は颯人だって良しとしていない。生きたまま捕らえる事が出来るならばそれに越したことはなかった。颯人が思わず抱いた不安に、しかしアリスは否と答える。

「いえ……その心配は無用でしょう」
「え?」
「奴は恐らく……!」

 アリスが油断なく見据えている前で、徐に土埃の中に人影が浮かび上がった。身構えるアリスに颯人がそちらを見ると、人影は徐々に鮮明になっていきその姿がハッキリと捉えられるようになる。

 それは、人間の姿をしていなかった。ハエの顔面の様な意匠の胴体に猫のような顔、そして頭の側頭部には悪魔の翼の様な部位を持つ。それは魔法使いベルゼバブの、人間としての殻を破ったファントムとしての姿であった。

「……さっきの一撃で殻破っちまったって事か」
「いえ、恐らくはそれ以前からファントムだったのでしょう。奴の魔力の波長を弄る際の感覚で何となく察しました」

 つまりベルゼバブは、ファントムでありながら魔法使いの装いをしていたという事になる。恐らくは颯人達の油断を誘う為だったのだろうが、アリスによってそれも無駄な努力となった。

「って事は、もう遠慮も容赦も必要ねえって事か。奏、やるぞ!」
「オッケー!」

 このまま一気にトドメを指してやろう。そう思った矢先、ベルゼバブが手を上げて颯人達の行動を制止した。

「待て! 貴様ら、これ以上俺を攻撃すると、コイツがただでは済まないぞ!」

 そう言ってベルゼバブが体を横にずらすと、そこに居たのは本部で無力化された筈のミラアルクであった。相変わらず意志を感じさせない彼女は、鋭く伸ばした爪を己の首筋に押し当て今にも頸動脈を切り裂こうとしていた。

「あぁっ!? アイツ、何でここにッ!? ってか、もうあの虫居なくなったのに何で?」
「フン、残念だったな。貴様が始末した虫は魔力を流し込む為の受信機の様な存在にすぎない。一度支配下に置いてしまえば、私が生きている限りその支配から逃れる事は出来ないのさ!」
「卑劣な……!」

 ミラアルクを人質に取ったベルゼバブのやり方に、翼が思わず怒りと嫌悪に歯噛みした。否、彼
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