第八十四話 三つの世界の主神達その七
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「言うなら」
「そうなるな」
「そして」
そのうえでというのだ。
「調べてみると」
「絶対悪のない」
「そうした世界やね」
「日本神話は」
「それで冥界も」
綾乃は自分の考えを話していった。
「どうにもやね」
「悪やないな」
「うん、ただ穢れの考えは」
これはというと。
「ほんま強いから」
「日本ではやな」
「善悪は絶対やなくても」
それでもというのだ。
「穢れは絶対やで」
「日本神話においては」
「そして神道でも」
「そやな」
「それでやねん」
まさにというのだ。
「伊弉諾命も帰りはって」
「すぐに身体清めはったな」
「海に入りはって」
自身の穢れを強く感じてだ、それだけ日本神話そして神道において穢れが忌まれているということだ。
「身体全体を熱心に洗って」
「清めはったな」
「海水やから塩水で」
「お水とお塩の両方でな」
「徹底的に清めはってん」
そうしたというのだ。
「あの方は」
「穢れをそこまで忌んではったな」
「それは事実やね」
綾乃はまさにと答えた。
「ほんまに」
「日本って今もその考え強いしな」
中里が言ってきた。
「穢れ思想が」
「私達から見ると何でやっていう位や」
シェリルが言ってきた、見れば一行のうちの日本人以外の七人全員がその通りという顔になっている。
「強いな」
「そやな」
「特に死の穢れがな」
「それな、血とかな」
そうしたものはというのだ。
「ほんまな」
「穢れでな」
「殺生をしても」
それでもというのだ。
「何と言ってもな」
「死の穢れで」
「忌まれるわ」
そうだというのだ。
「実際に」
「それがな」
「かなり強いな」
「そこからやろ」
シェリルは中里に真剣な顔で言った。
「部落差別も」
「あれな」
中里も部落差別については知っている、日本社会においては実はかなり根の深い問題の一つであるのだ。
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