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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#9
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※※※

 待機場所にて、ルガレドからの合図を待っていたダズロ=アン・イルノラドは、その合図がついに来たことを確認して────側近のセロム=アン・ノラディスと視線を交わした。

 そして────ダズロからの指示を待つ騎士や貴族の私兵に向かって、声を張り上げた。

「ルガレド殿下より合図が来た。これより────挟撃を開始する!」

 ダズロは、先頭で横一列に並んでいる、“デノンの騎士”30名からなる騎馬隊を見据えた。

 彼らはダズロの言葉を受けて、それぞれの傍らに佇む通常よりも体格のいい軍馬に乗り上げ────利き手で手綱を掴むと、逆の手に握る両刃の長剣を構えた。

「第一陣、進め!」

 はっ────と、一様にダズロの指示に短く返すと、各々の馬を蹴って一斉に駆け出す。

「我々も行くぞ!全員、進め!」

 騎馬隊の後ろに並んでいた私兵や騎士たちが、第一陣を追って速足で歩き出す。

 ダズロとセロム、それから今回ダズロの補佐を務めるアダン子爵は、愛馬に乗り上げて────共に奔り出した。



 ダズロたち三人が辿り着いたとき、第一陣である騎馬隊はすでにオーガと交戦し始めていた。

 騎士たちは、片手で馬を巧みに操り、オーガの群れを縫うように駆ける。側を走り抜けていく際、片手で水平に掲げた剣身90cmほどの幅広の剣がオーガの首を刈り取っていった。

 どうやら、騎馬隊による奇襲は成功したようだ。
 突然の騎馬での攻撃に、オーガはまだ対処できていない。

 陣形を造る時間を稼ぎつつ、少しでもオーガの数を減らすのが目的だ。

 しばらくして、オーガが迎撃あるいは反撃をしてくるようになって、容易に首を刈り取ることができなくなってきた頃────徒歩でこちらに向かっていた残りの仲間たちが到着した。

 騎士として───貴族の私兵として訓練された彼らは、命じられるまでもなく、すぐに適度な距離を開けて、予め指示されている配置につく。

 馬に(またが)ったままのダズロは、同じく馬上のセロムとアダン子爵と共に、本陣最前列の右端に佇む。

「第一(いしゆみ)隊、構え!」

 ダズロが命じると、最前列に並ぶ弩───クロスボウを持った40名の兵が、すぐにでも発射できるよう構える。

「セロム───騎馬隊を退かせろ!」
「かしこまりました」

 ダズロの命を報せるべく、セロムが掌に握った魔道具を発動させる。

 これは、ルガレドから預かっているものと同様の魔道具で────こちらは光だけでなく、光と音で報せる。
 一方的で受信できる距離も短いが、その代わり受信機の数が多い。各部隊長と副隊長に一つずつ持たせてある。

 間を置かずして、騎士たちは馬首を翻す。オーガの追撃を躱しながら
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