暁 ~小説投稿サイト~
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#9
[9/10]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
と騎馬隊の正面からすると、変異オーガが縦に並んでいるため、奥の変異オーガも狙うとなると仕方がない。
2頭の変異オーガが矢の雨に気を取られているうちに、ダズロは今度こそ変異オーガから離れるべく馬首を返す。
馬を左に旋回させたとき、貴族家隊の様子が目に入った。
変異オーガの棍棒によって吹き飛ばされ────蹲る騎士や私兵。
中には何とか立ち上がっている者もいたが、剣は砕かれ、何処かケガをしているのか上半身を屈ませている。
そして────矢が放たれる寸前まで変異オーガと戦っていたと思しき騎士が、別の騎士の肩に担がれて、その場を離れるところだった。
今回は夜が明けていない状態での戦いで視界が暗いため、騎士も貴族の私兵も、バイザーのついていない簡素な兜を着用している。
目鼻は露になっているものの、ダズロの位置からは二人の顔は判別つかなかったが、担がれている騎士が手にしている剣で、その騎士がセロムの息子セグルであると判った。
ならば、担いでいる騎士はファルロだろう。
ファルロとセグルは、確か共にドレアド伯爵隊に配属されていたはずだ。
セグルの愛剣は、ノラディス子爵家に継承される魔剣で────セグルが“デノンの騎士”となったときにセロムから受け継いでいる。
軍国主義時代に当時のイルノラド公爵が、側近を務めるノラディス子爵に褒美として与えたとのことだった。
以来、ノラディス子爵あるいは子息は、戦場においてその魔剣を振るってきたが────これまで刃毀れしたことすらなかったらしい。
しかし、セグルの手にある見慣れたそれは、半ばから折れていた。
(あの棍棒は魔剣ですら折ってしまうのか…!)
変異オーガに攻撃を加えるには、あの棍棒を何とかするしかないのに────魔術もクロスボウも剣も盾も、あの棍棒には意味がない。
もし棍棒を掻い潜って接近戦に持ち込んだとしても、あの素早さでは攻撃を入れるのも難しい。
(こうなれば────棍棒の攻撃範囲内には入らず、遠距離から魔術やクロスボウを四方から一斉に浴びせる他ないが…)
魔術師たちの方を窺うと、皆一様に苦しげな様子だ。中には立っていられないらしく、座り込んでいる者もいた。
あれは────魔力切れの兆候だ。
ここまでの戦いの中で何度も魔術を発動していたのだから、無理もない。
ウォレムが率いている方の魔術師たちも同じだろう。
魔術師の魔力だけではない────矢だって、かなり減ってしまっている。
(せめて1頭だけであったなら、魔術やクロスボウがなくても、まだやり様があったのに────)
ダズロが、思わずそんな
詮
(
せん
)
のないことを考えてしまったそのとき────矢の雨
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 ~小説投稿サイト~
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ