暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#9
[6/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、どちらも体長3mはあった。

「第一弩隊、騎馬隊、構え────ッ!」

 最前列と次列に並ぶ弩隊と騎馬隊が、クロスボウを持ち上げて構える。

 アルゲイド侯爵隊、ゲルリオル伯爵隊、ガラマゼラ伯爵隊は、すぐ目の前まで戻って来ている。

 この距離ならば、変異オーガに接近される前に合流できるはずだ。ダズロが、そう安堵したのも────束の間。

 変異オーガが動き出したかと思うと────瞬く間に、味方部隊のすぐ後ろにまで迫る。

「っ?!」

(いくら何でも速過ぎる…!)

 巨大化したオーガの変異種を討伐したことは何度もあるが、この巨体でここまで素早い動きをするものはいなかった。

 これでは────追いつかれてしまう。

「変異種が来るッ!散開しろッ!!」

 部隊名を呼ぶ余裕がなく、簡潔な物言いになってしまったが────自分たちに向けたものだと理解したようで、アルゲイド侯爵隊は左方に、ゲルリオル伯爵隊は二つに割れて左右に、ガラマゼラ伯爵隊は右方へと退く。

 左右に散開した騎士たちに向けて、変異オーガが手に持つ棍棒を振り被る。

「弩隊、騎馬隊、撃て────ッ!!」

 変異オーガが棍棒を振り下ろす前に、馬上と地上の二段から放たれた無数のクロスボウの矢が、一斉に変異オーガを襲う。

 2頭の変異オーガは、まるで宙を掻き混ぜるように棍棒を振り回す。

 変異オーガが棍棒を下ろしたときには、ほとんどの矢が打ち落とされていた。棍棒を掻い潜った矢が数本あったものの、変異オーガの毛皮を浅く抉っただけに終わった。

「魔術師隊────」

 アルゲイド侯爵隊、ゲルリオル伯爵隊、ガラマゼラ伯爵隊の魔術師は戻って来ていないため、待機していた貴族家隊に配属していた5人しか集められていない。

 それでも今いる魔術師たちに魔術を撃たせようとダズロは口を開いたが、最後まで言い切ることはできなかった。

 変異オーガが、こちらに向かって、駆け出したからだ。

 変異オーガは、その巨体もあって、次の瞬間には陣営の最前列へと詰め寄っていた。魔術の発動を命じる間もない。

「っ盾隊、構え────ッ!!」

 弩隊と騎馬隊が後方へと退き、今、最前列に並んでいるのは盾隊だ。

 退避は間に合わないと悟って、ダズロは命じる。

 盾隊の騎士あるいは私兵たちは命じられるがまま、片足を引き体勢を低くして盾を翳した。

 居並ぶ盾に二つの棍棒が振り下ろされる。

 2頭の変異オーガは、それぞれ振り下ろした棍棒を横に薙ぎ、たった一振りで盾隊を掃ってしまった。

 盾隊の騎士あるいは私兵たちが、左右に吹き飛ばされる。

 ダズロの視界を、騎士や私兵が横切っていく。彼らが手にしている盾は、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ