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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#9
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、騎馬隊はその俊足で以てオーガの群れから離れる。
オーガが騎馬隊を追って、こちらへと迫り来る。
騎馬隊は追いつかれることなく、立ち並ぶ弩隊の隙間を駆け抜けて、後方に退避した。
「第一弩隊、撃て────!」
号令をかけた直後、無数の矢がオーガの群れ目掛けて飛んでいった。
矢は空を切って物凄い速度でオーガたちに迫り、その硬い毛皮を破って突き刺さる。
中には手に持つ剣や斧などで叩き落とされたものもあったが、大半は深々と突き刺さった。
幾本もの矢を受け───当たり所の悪かったオーガが、その場に崩れ落ちた。
対魔物・対魔獣用として、これまで幾度となく改良が行われてきたクロスボウだ。人の手で引く弓よりも、射程も威力も大幅に上回る。
しかし、射程と威力に重点を置いて大型の弓を搭載しているために重いことと、矢の充填に手間がかかることが難点で────冒険者にはあまり普及していない。
「第一弩隊、
退
(
ひ
)
け!」
撃ち終えたクロスボウを抱えた弓兵たちが、次々に踵を返して、後列に立ち並ぶ弩隊の隙間からその後ろへと退く。
「第二弩隊、構え!撃て────!」
無数の矢を射かけられてもなお止まらないオーガに、新たな矢が襲う。そしてまた、急所に矢を食らったオーガがその場に倒れ込む。
ダズロは、戦場に素早く目を走らせる。重装の騎士が乗ることを想定して体格よく育てられた愛馬は、体高がある。馬上からはある程度遠くまで見渡せた。
予想していたよりも、矢に倒れたオーガの数が多く───向かって来るオーガの数はそれほどでもない。それに加えて、大半が手負いだ。
(今のうちに、ドレアド伯爵子息を出撃させておくか…)
ドレアド伯爵子息は、これが初陣となる。この状態なら、ドレアド伯爵子息も気持ちに余裕をもって初陣に臨めるだろう。
こちらとしても、何かあってもサポートできる。
「バルデイン伯爵隊、ドレアド伯爵隊、グレミアム伯爵隊────突撃!」
すでに第二弩隊は後方に退いており───最前列に立ち並ぶ6つの部隊の中から、ダズロに名指しされた3つの部隊が飛び出した。
こちらへと迫っていたオーガの群れと正面からぶつかる。
どの部隊も基盤は各自の私兵だが、人数を40名程度に
均
(
なら
)
すべく、“デノンの騎士”、
虧月
(
きげつ
)
騎士団の上級騎士とイルノラド公爵家の私兵を組み込んでいるから、戦力が大きく偏る心配はない。
それぞれの部隊長の指示の下、オーガ1頭に対して私兵か騎士の3〜4名が取り囲む。
オーガ1頭に騎士ならば最低5人割り当てることを想定しなければならないと、緊急会議でルガレドが言っていたが───あれは、あくまで万全を期すための目安だ
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