第53話(三章終了)
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いかどうかわからないけど、今の所は南カルバード総督府から私へもそうだけどイーディスにある我が国の大使館にもメンフィル帝国方面から今回のサルバッドでの騒動の件について何も言って来ていないよ。結果的とはいえ大きな被害が出る事なく映画祭が成功したからか、エースキラーの諸君がメンフィル帝国に言い含めておいてくれたか、もしくはルファディエル警視の推測は杞憂だったのか…………いずれにしても、メンフィル帝国から何も言ってこないのであれば、我々もわざわざ藪をつつくような事はしないさ。」
「その…………殿下は本当にそれでよろしかったんですか?」
アーロンのシェリド公太子への質問にアニエスが冷や汗をかいている後に答えたシェリド公太子の答えを聞いたフェリは複雑そうな表情でシェリド公太子に確認した。
「ああ。仮にルファディエル警視の推測が当たっているとしているならば…………メンフィル帝国もそうだがクロスベル帝国にも誤解されるような事をしていた私を含めたサルバッド公国にも落ち度があるからね。”ゼムリア連合”に調印したとはいえ、かつての二大国であるエレボニアを衰退させ、カルバードを滅ぼしたクロスベル帝国もそうだがメンフィル帝国に対して私を含めたサルバッドの人々は口にはしなくても”侵略国家”というイメージを抱いていて、二帝国との距離を測りかねていて、未だ二帝国との直接的な国交は行っていなく、二帝国との国交を行う際は北カルバード総督府に仲介してもらっていたからね。現北カルバード総督であるグラムハート総督が”中央”――――――クロスベル帝国による干渉を抑え続けている事や中央からの北カルバード州への莫大な”援助金”の件で”中央”から警戒されつつある事も知っていながらも、北カルバード総督府との関係ばかり深めていたら、二帝国からそんな風に思われても仕方無い事さ。」
「殿下…………」
「……………………」
複雑そうな表情を浮かべて語るシェリド公太子の様子をナージェは心配そうな表情で見つめ、アニエスは辛そうな表情で黙り込んでいた。
「二帝国からの誤解を解く為もそうだが、サルバッドの繁栄の為にも今後は二帝国との直接的な国交を本格的にするつもりさ。私が尊敬している”彼”も、祖国が二帝国との戦争によって大敗して衰退し、今はメンフィル帝国に”保護”という名目で”総督府”を置かれながらも国際協調を唱え、各国ともそうだが二帝国との国交も自ら積極的に行っているのだから、そんな”彼”を目標にしている者の一人として見習わなければね。――――――そういえばヴァン君は二帝国の一部の皇族ともそうだが、かの”大英雄”殿との”伝手”も持っているのだったね。その内君の”伝手”に頼る機会が訪れるかもしれないね?」
「はは、自分としてはそんな機会は訪れてくれない方が助
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