第22話:霧の中の試練
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は当時の人々を救う。不要な殺戮に苦しむ命を救う。理不尽に虐げられている者を救う」
だが、そんなグートミューティヒをマドノを見下す。
「お前の様な馬鹿雑魚に出来る訳無いだろ。お人好しに現を抜かして経験値稼ぎをサボる馬鹿雑魚な貴様に」
でも、突き付けられた『理想と現実の乖離』を完全に振り払ったグートミューティヒ。
「誰に何を言われようと構わない。目の前に救いたい者がいるなら、例え結果がどうなろうと、持てる全ての力を使って救いを試みる!」
「俺の言ってる意味解ってる?そいつを救ったと言う結果が無いと意味が無いって―――」
「だから逃げるのか?」
今度はマドノがグートミューティヒに追い詰められ始めた。
「……何?」
「目の前に苦難に苦しむ人がいたとしても、『俺は弱いから何も出来ません』と言って見放す心算か?『今はまだ力が無いから』と言って助けを求める人々から逃げる気か?」
「いや……だから救えなきゃ―――」
「俺はそっちの方が恥ずかしいよ!俺は、未来人に無力な馬鹿と罵られるより、当時の人々に心無き臆病者と馬鹿にされる方が100倍恥ずかしいんだよ!自殺したくなる程な!」
3人は別々の場所にいる筈なのに、3人は異口同音、全く同じ事を叫んでいた。
「大量殺戮が作った汚い平和は要らない!」
アムは何度目かの魔王軍との決別の言葉を口にする。
「私はもう、くだらない選民には手を出さない!誰が何と言っても、命は命なんだよ!」
マドノ達を撤退させたアムは改めて魔王との決別を誓った。
「今の私に必要なのは殺し合いを促すだけの無駄な選民じゃない。平和で安全な生存だ!」
マシカルはマドノ達に酷似したゴブリン達の攻撃を躱しながら攻撃魔法を連発した。
「あんた達の大嫌いなグートミューティヒは、あんた達とは違って目の前の依頼からは逃げないわ!」
こうして、攻撃を躱しながら呪文詠唱をすれば良いと言うアイデアを得たマシカルは、漸くマドノ率いる勇者一行への未練を断ち切った。
「どんなに強くても、名声が伴わなきゃただの暴力。醜くて見苦しい虐殺よ!」
グートミューティヒは『理想と現実の乖離』を武器に反論するマドノを無視して素通りする。
「やめとけよ。それ以上言っても、今のアンタが心無い臆病者にしか見えないよ」
改めて自分が理想とする自分が何者かを理解したグートミューティヒは、マドノに背を向けながら駄目押しの言葉を口にする。
「目の前にいる救いを求めている人々が苦しんでいるのは、今なんだよ!」
そして、謎の霧が生み出したマドノ達の幻影を振り払った3人は、見慣れぬ草原で合流した。
「みんな無事だったんだ」
「ええ……何とかね……でも」
「モンスター側からかつての私達を観たらどう思うかを、散々思い知らされたわ」
「……それって、マ
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