暁 〜小説投稿サイト〜
Re:ひねくれヒーロー
第一部
死と共にはじまるものは、生である
運命は我らを幸福にも不幸にもしない
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次の言葉に悩んだためか自来也は言葉をつぐんだ

「・・・知識?」

「うむ・・・
 日の国、太陽教、地下神殿、そして・・・暁のことだ
 お前さんが人柱力で虚弱体質だということも教えられた」

虚弱体質は言っておくべきことなのだろうか

「・・・炎の、卵っで?」

そんなものに包まれていて、よくオレは無事だったな

「お前さんにはパルコの2本の尾が入っておる 
 そのうちの一本が防衛機能として作りだした炎が・・・そうじゃの、狐火、とでも言おうかの」

もう一つは生命維持に使われておる
遠い目をしながらそう説明された
・・・あぁ、生命を維持しなきゃならんぐらい、弱ってたんだな

右手で腹をゆっくりと撫でおろした
・・・命が助かったことよりも、それに対する謝罪よりも先に思い浮かんだのは疑問

何故、と声に出さず呟く

答えは返ってこない
いつもいたはずの存在は、今はない

「・・・パルコはの、こうも言っておった
 あまりにも不憫だったのだと、思わず憐れんでしまったのだと、な」


思考が停止した

憐れみ?
あぁ、そうだな、いつだってあいつは俺をひ弱だの、未熟だの、可哀想だのとのたまいやがる
そうか、不憫か
不憫な境遇になったのはてめぇの存在だと知ってて抜かしたか

自来也の目が、ひどく冷めたように見えて、哀れんでいるようで憤った
何に怒れば良いのか、誰に怒れば良いのか、何をしたいのか
わけがわからなくて、思わず自来也を睨みあげていた

「・・・見返したいか?」

自来也の手が俺の目を覆った
じんわりとした暖かさが体に染み渡る
何だろうこれは、どこかで感じたことがあるのだけれど分らない

「今までチャクラが扱えなかったそうだの
 しかし、パルコのチャクラがお前に力を与えた
 これからわしが修行を見てやる、パルコの巫子よ、忍者になれ」

忍者

なれたら良いな、といつも呟いておきながら、結局なれなかったもの
今からでもなれるのだろうか
諦めなければなれるというのか、忍者に

涙が溢れだした
大声で泣きわめくことはなかったが、それから小一時間は泣き続けていたと思う

泣き疲れて眠るころにぼんやりと誓った

パルコの守りが、狐火が必要ないぐらい強く生きよう
チャクラがまともに使えなくても、忍者になれると、証明して見返してやろう

眠りに落ちた時、金色のお日様が笑った気がした
それと同時に、狐の鳴き声が聞こえた・・・様な気がする



◇自来也◇



本当にこれで良かったのか
いくら約束と言えど、恨みを糧とする生き方をさせて良いものか

「難儀だのう・・・」

泣き疲れて眠った子供、いや違った、青年を見る

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