第四章 (1)
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は制限されていた。なのに紺野さんは、まるで「画面を見たことがあるように」僕を誘導し、初めて見るはずのキャラクター選択画面にも、柚木が示したほどの興味は示さなかった。
普通なら、全キャラ…とまではいかなくても、どんなキャラクターがいるか、一通り確認したくなるのが人情じゃないか?
「…お前だって、大して興味持ってなかったじゃないか」
「当たり前でしょ、僕は元々興味も情報も持ってないんだから。最初に話したときの印象から考えると、紺野さんは僕と違って、事前に柚木並みか、それ以上に情報を収集してた。なのに変だよ。初めて見るはずのキャラクターに、あまり興味を示さないなんて」
……沈黙。これが答えだ。僕は顔をあげずに先を続けた。
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「紺野さんがMOGMOGの開発側の人間と考えれば、一連の出来事のつじつまが合ってくる。あの日、僕に近づいたのは恐らく…」
あの日、紺野さんは物色していたんだ。あまりパソコンに詳しくなさそうで、気が弱そうで、お人よしそうな…「おばあさんに道を訊かれそうな」一般人を。そして、僕に目をつけた。
「目的は、用意していた「特殊なMOGMOG」を、何かのどさくさに紛れて、僕が買ったMOGMOGとすり替えること。そしてMOGMOGにかこつけて僕と連絡を取り、この特殊なMOGMOGの動向を観察すること。でも…」
想定外の状況が発覚した。僕が、柚木に頼まれて代わりに並んでいたことだ。
たとえ僕と連絡先を交換したとしても、実際に使うのが柚木では、その後のMOGMOGの動向は一切わからなくなる。紺野さんは焦った。…しかし、その日の1限にMOGMOGを受け渡すと聞いて、紺野さんは一計を案じた。受け渡しの場に強引についていき、僕の意識が寝不足と体調不良で混濁しているのを利用して、僕のノートパソコンにさっき買ったMOGMOGをインストールしているように見せかけて、あの「特殊な」 MOGMOGをインストールしたんだ。
「すり替えのために用意した、偽の認証画面と、偽のシリアルナンバーでね」
…そして柚木が現れたら、適当に脅しつけて現金だけ返して一件落着…とするつもりだったが、ここにきて第二の誤算。柚木が気の強い、女子大生だったことだ。
「女の子を脅しつけて金だけ返して、タダで済むとは思えない。もしも大学内で大騒ぎされて、自分の素性を明かさなければならないような状況にでもなったら、わざわざ徹夜して並んだ努力がすべておじゃんだ。だからまた、一計を案じた」
……それが、柚木に渡した茶封筒だ。紺野さんは、「まだ使われていない、そして今後使われる可能性が低い」僕のシリアルナンバーと、正式な認証画面をメモして柚木に渡した。
…そしてめでたく柚木の機嫌は直り、柚木は正規のユーザーとして、何も問題なくMOGMOGを使ってい
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