第四章 (1)
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をこうむるなら自業自得だ。でもそれが柚木を巻き込もうとしている。…もう一度、紺野さんとカツ茶漬けを食べた日のことを思い出す。…困ったな、どうしても悪い人には見えない……。
でも僕は明日、あの人と対決する。
ゆっくり上半身を起こし、メモ用紙を引き寄せて、紺野さんに会ってから現在までに感じた「違和感」を全て書き出し、さらに細かい書き込みを始めた。
昼時の「ジョルジュ」には、どこか文科系な女の子たちがひしめいていた。甘いスフレの香りと、女学生のコロンの香りに落ち着きを失い、2、3回、店員の呼びかけを無視してしまった。一旦、外に出て深呼吸したのち、意を決してドアを開け放ち、ゴシック調に設えられた店内を見回す。
……紺野さんは、来ていた。
鼻の下を伸ばして、柚木が現れるのを今か、今かと待っている。
目的がどうあれ、これから可憐な女子大生と二人っきりで、訳ありげな喫茶店でスフレを食えるのを心底楽しみにしている顔だ。
彼の脳内デートでは、既に「紺野さんのラズベリースフレもおいしそう♪」「ふふ、食べてみるかい?」「うん、一口ちょうだい!」「んっふふふ、さぁ、お口をあけてごらん?」「あーん」とかいって、ひとさじすくって柚木に食べさせてやってるかもしれない。
…そして柚木がラズベリーソースを口の端につけたまま「こっちもおいしい!こっちにすればよかった」とか言って「んふふふ、ソースが付いてるゾ☆舐め取ってあげよう」とか微妙にエロい方向に話が弾むところまでシミュレート済みかもしれない。
しまいには「むふふふ、柚木ちゃん、今夜は二人でパッションナイト」「いやン、紺野さんたら大人の男☆」とかそんな展開になっていることだろうな…
……あ、いま虚空を見ながらニヤッと笑った。気持ち悪。
いかん、何がパッションナイトだ。僕はこれからあの人と「対決」をするんだぞ。脳内で変な寸劇こしらえている場合か。僕は軽く気合を入れなおして、引き続きニヤニヤしている紺野さんを遠目に確認する。
…まさか僕が現れて、男二人でスフレを食い合う羽目になるなんて、微塵も考えていないだろう。この後に対決する件はさておき、僕は何だか猛烈に申し訳ない気分になってきた。
「お一人さまですか?」
早くも店員に声をかけられる。僕はもごもごと「…待ち合わせで」と呟くと、店員の案内を待たずにそそくさと紺野さんのテーブルに近づき、手の甲で肩をたたいた。
一瞬顔を輝かせて振り返った紺野さんは、次の瞬間、あからさまに表情を曇らせて顔を伏せた。…僕がここにいる理由はともかく、柚木が来ないことは瞬時に察したらしい。
「……なんでお前が」
「……あんたこそ、何でこんな場所を待ち合わせに設定したんだよ」
「柚木ちゃんが来ると思ってたからだろうが!」
紺野さんは、先に頼んでい
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