第三十六話 織田作之助の街その九
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「これがね」
「そうだったんだ」
「今は女の子のファッションの中でも」
「特に奇麗だね」
「そう言われるものだけれど」
それでもというのだ。
「その頃はね」
「女の子らしくない」
「そんな風だったらしいのよ」
「意外だね」
「けれど今から見たら」
夜空は令和の女の子として語った。
「可愛いわね」
「そうだよね」
「機会があったら」
織田の銅像から佐京を見て言った。
「一緒にね」
「俺が織田作さんの服を着て」
「私が大正の服を着て」
「一緒にいる?」
「いいね」
佐京は笑顔で返した。
「それも」
「そうよね」
「こうした服が着られたら」
佐京はまた織田作之助の銅像を見て話した。
「いいよね」
「そうした流行になって欲しいわね」
「流石に古過ぎて」
今はというのだ。
「そうはね」
「着られないわね」
「そうだけれどね」
それでもというのだ。
「流行が変わって」
「着られるなら」
「それならね」
まさにというのだ。
「いいね」
「そうよね、そんな時代になることをね」
「流行がね」
「そうなって欲しいってね」
「願うばかりね」
「そうだね、服の流行も変わるから」
そうしたものだからだというのだ、実際にこうしたものは時代と場所によって随分と変わるものである。
「何時かね」
「着物にマントとかね」
「大正の袴と靴とか」
「そうしたファッションが戻れば」
「着たいね」
「そうよね」
銅像を前にこうした話をした、そしてだった。
二人は楞厳寺にも行った、そこに行くと一つの大きな石碑の様な墓があった。夜空は佐京と共にその墓の前に来て話した。
「このお墓がね」
「織田作さんのお墓だね」
「何でもこのお寺前は別の場所にあったのよ」
「そうなんだ」
「それがこちらに移転してね」
そうしてというのだ。
「織田作さんのお墓もね」
「こちらにあるんだね」
「そうなの、それでね」
「ここからだね」
「織田作さんはあちこちね」
大阪のというのだ。
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