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金木犀の許嫁
第三十六話 織田作之助の街その八

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 そこから生国魂神社に入った、佐京はその緑が多い神社の境内を見回して隣にいる夜空にこんなことを言った。
「木の都かな」
「織田作さんの作品にそのタイトルのものもあるのよね」
「うん、織田作さんが言うには大阪は木が多いから」
「水の都じゃなくてね」
 俗にそう言われているがというのだ。
「木の都ってね」
「言ってるね」
「それは織田作さんが子供の頃ね」
「こうしたところによく行っていたからだね」
「そうよね、そんなこと書いてたし」
 その木の都という作品の中でだ。
「それでね」
「そう書いていて」
「この神社本当に木が多いわね」
「そうだね、ここも織田作さんの世界だね」
「そう、そしてね」
 それでとだ、夜空は話した。
「ここに織田作さんの銅像があるのよ」
「そうだったね、それじゃあ今から」
「織田作さんの銅像見ましょう」
「これからね」
 二人で話してそしてだった。
 その織田作之助の銅像の前に行った、すると着流しの上に身体の前まで覆うマントを羽織った帽子を被った彼がいた、その彼を見てだった。
 佐京は少し頷いてからだ、こんなことを言った。
「この格好で今も大阪の街を歩いてるんだよね」
「白華ちゃんも見たのよね」
「そうだね、ハイカラっていうのかな」
 佐京はその着流しにマントの恰好を見て話した。
「戦前のファッションだね」
「いかしてるわね」
「今このファッションで街歩いたらどうかな」
「着流しにマントね」
「戦前ってこうしたファッションよくあったね」
「女の人だと着物着て」
 夜空は笑って応えた。
「パラソル持ったり振袖に袴で」
「ブーツだね」
「大正よね」
「あれだね、大正浪漫」
 佐京は微笑んでこう言った。
「まさに」
「そうよね、そうしたファッションもいいわね」
「うん、今こうしたファッション出来たらいいね」
「着てみたいわね」
「今こうしたファッションで街に出たら古いけれど」
「戦前とか大正のファッションだから」
「そうだけれど」
 それでもというのだ。
「着てみたいよ」
「そうね、今も着られたらいいね」
「俺が織田作さんのファッションをして」
 着流しにマントそれに帽子のというのだ。
「夜空さんは着物で」
「振袖に袴にブーツよ」 
 このファッションだというのだ。
「私が好きなのは」
「大正浪漫の」
「何でもその時は女の子らしくないって思われてたらしいの」
 女学生達がおかしな連中に襲われない様に男が着る様な服装にさせたらしい、今で言うと土方の恰好の様だという。
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