第11話「お帰り、アリス」
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
「助けてくれてありがとう」
クレアから差し出された手は握手を求めていることに瞬時に理解し、アリスは握手を返した。
「ごめんなさい。皆の面倒を見なきゃ。…失礼するわね」
アリスはこの場から歩み去るクレアを見送った。
「アリス、少し歩かないか?」
カルロスから申し出を受けたアリスは、承諾した。
他愛も無い事を軽くした後、カルロスは問うた。
「…あの後、君に何が起きたんだ?」
カルロスから放たれた質問の持つ重みに圧倒され、アリスは黙り込んだ。
「デトロイトの後、何故戻って来なかった?」
この質問にはアリスは答えられた。
「そうするしか無かった。利用されていたから」
「利用?」
「アンブレラ社に監視されてたから。一緒に居る訳には、いかなかった。巻き添えにするだけだもの」
「それで姿を消していたのか」
「アンブレラの施設に潜り込んで、システムにハッキングしたの。そこから衛星の軌道をダウンロード。監視網を避けた」
「世界が滅んでから、何故ひとりで居た?」
アンジーの時のように操られて私が殺してしまうから、アリスはその言葉が口から出なかった。骨が喉に挟まっているように。
言える筈が無いのだ。だからアリスはこの質問に「安全だから、人の傍に居ないほうが」と答えた。
「じゃあ、何故戻った?」
「なんとなく?」
苦笑いをするアリス。
カルロスとしてもアリスがアンブレラから逃げ、巻き込みたくない気持ちが前に前に出ていたのは分かっていた。
「だったら、戻って来たのは間違いだったな」
だけどそんなアリスを見たくない。そんな思いを抱きながらカルロスは彼女を励まそうと声を上げて笑った。
カルロスが突然、笑ったのを見てアリスは目を点にするが、やがて彼女は吹き出した。2人は笑いあい、抱擁を交わす。
その時、アリスの腕時計のアラームが鳴り響いた。
「あ、そうだった…っ」
アリスは抱擁を解いて青空を見やった後、腕時計に搭載されている機能で衛星の軌道位置を調べる。すると、間もなく北アメリカ大陸近くを通過することが分かった。
「ど、どうした?」
「今って何時かしら?」
「あ、あぁ。悪いな。腕時計を付けていないんだ。だから…チェイス!」
カルロスは時計を持っていない。その為、タンカーの上で座っているカウボーイハットを被った男チェイスに時間を尋ねた。ちなみに今アリスとカルロスはタンカーのすぐ近くに立っている。
「チェイス、今何時だ?」
「俺の時計だと12時14分。どっか行く用事でもあんの?」
アリスは再度、空を見上
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ