第9話
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!」
バスの非常用出口は既に開かれており、子供達は頭を低くして、小走りでミニバンに乗り込んでいく。クレア、カルロス、マイキーらは、カラスの群れに対しありとあらゆる銃器を駆使し牽制しつつ子供達の避難誘導をしていく。
「…!?」
そんな中、1人の青年がスクールバスとミニバンを繋ぐ鉄板からうっかり落ちてしまい、更にはゴロゴロと転がってしまった。それにより、2mは離れてしまった。
「い、嫌だっ。誰か助けッ…ギャアァアア!?」
孤立した青年を30羽ものカラスが彼に嘴を向け、容赦なく顔を突き、彼の顔を無惨な程に肉を抉っていった。
「早く来い!」
子供達がミニバンへと移れた中、スクールバスから出たL・Jはペディ達に早く乗り移るよう叫ぶ。
「ペディ、先に行け!」
オットーにそう言われたペディは、この状況で本当に先に行って良いのかと強く疑問に思った。
だが、そんなペディにオットーとディロンは身体の至るところからボタボタと血を流していても、今にも倒れそうだったになりながらも…ペディへと『漢の顔』を魅せた。
それを見て、ペディは歯を食いしばる。
自分の…自分為の犠牲になろうとしている。
フロントガラスから手を離したペディは一筋の涙を流し、踵を返す。非常用出口に向かっている際、彼女は座席の下で耳を抑え、金切り声を上げる金髪の男の子を見つけた。
「セバスチャン行くよ!」
ペディはセバスチャンを抱き抱えると、出口へと走り出した。カラスからの攻撃もあり、辿りついた頃には、血だらけとなっていた。
「この子を…!」
ペディからセバスチャンを差し出され、L・Jは抱える。ペディの後ろではオットーとディロンがまだフロントガラスを抑えているが、破壊寸前だ。
「早く乗せて上げて!」
「分かった!ペディも急げよ!」
「勿論よ、L・J!」
L・Jはセバスチャンを抱えて、急いでミニバンへと向かう。辿り着いたL・Jは手を伸ばすクレアにセバスチャンを託す。
L・Jもセバスチャンに続いて、乗った。
ふと、L・Jはペディへと振り向く。そこには彼女が曇りなき笑顔をL・Jへと向けていた。笑顔の中には、愛する人のみにしか魅せないであろう『女の顔』も含まれていた。
その後、ペディはスクールバスの非常用ドアを閉めた。
その意図に気付いたL・Jはペディに叫ぶ。
「よせぇぇええ!!」
フロントガラスを破ったカラスの群れはオットーとディロンを呑み込んでいく。数秒後、血だらけのペディに向かっていく。彼女は最期の悪足掻きに拳銃を撃つが、そんなのは全く当たらず、カラスに蝕まれていった。
「ペディーッ!!」
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