第9話
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らまだ眠っていたいと思う少女。しかし、気になったのか、目をゴシゴシと乱暴に擦りつつ、車のドアを開けて屋根を覗く。
屋根には何も無かった。
少女はほっと安堵の息を漏し、中に戻ろうとするが何かが車の屋根に留まる音が聞こえ、再び覗く。そこには…、
「…カラス?」
カラスが居た。しかし、目が変だ。どことなく恐ろしい。目は黒い筈が、充血しているように赤く血走っている。
「Kgyaaaaッ!!」
カラスは少女に威嚇した。少女は驚いた。このような事は初めてだったからだ。
襲われるかも、と生存本能が働いた少女は車の中に素早く戻り、ドアを勢いよく閉めた。
帽子を深く被り今も後部座席で眠っている女性の名を、少女は悲鳴にも近い声音で呼び掛け続ける。仲間からの信頼も高く、この車団のリーダーを務めている女性の名を何度も。
「大変だよっ。クレアッ、クレア起きてぇ!!」
悲鳴にも近い呼び掛けによって眠りから覚めて身体を起こしたクレアは、急いで運転席へと移動した。助手席には少女が座っている。
「Kマート、緊急事態なのね?」
「そうよ、”アレ”を見て!」
一方、その頃、デスクトップやパソコンなどの様々なコンピューター機器に囲まれているミニバンの車内で眠っていたマイケルは、監視カメラからの警報音により、突然と眠りから覚まされる。
ぱっと起きる彼であるが、すぐ目の前が車の天井であることを忘れており、派手に頭をぶつけてしまう。
痛みに悶えつつ、キーボードのキーを正確にそして速く打ち込んで警報音を止めると同時に、警報音が鳴った理由である監視カメラの映像をデスクトップに映し出す。
映し出された光景に、マイケルは目を丸くした。
「急いで知らせないと…っ」
マイケルはデスクトップの脇に置いてある小型のトランシーバーを取り、今起きている事を伝えた。
クレア、カルロスらは目を丸くした。
彼等が目にしたのは…カラスの大群が建物の屋根や電柱、電線に止まり、クレア達の乗る車両集団を取り囲んでいた光景だった。
「絶対に外に出ないで。窓を閉め切って、一切…音を立てないで」
クレアからの指示を聞いて、各車は窓を閉め切る。その後、音を立てぬよう。
カラスの大群は未だに留まっている。獲物を逃さぬ為か、獲物を探している為か…。
恐ろしい程の緊張感が生存者達に包まれる。カラスは頭が良い。群れの統率力や視力の方も優れている。
もしも、カラスが感染しているのならば、それは今の世界で生きる生存者達にとって、アンデットと同じく脅威であるといえるだろう。
早くここから離れていくのを祈るばかりだ。静寂の中で誰もがそう強く思い祈っ
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