第8話「もしや彼女は…」「あ、しまった…」
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ゼノビアは鉄扉の右脇にあるタッチパネルに手をやり、暗証番号を入力し部屋へと入った。入った部屋には地上で捕らえたアンデッドがおり、捕らえる前の服装はジャージであったのが拘束衣となっていた。
ゼノビアはアンデッドに歩み寄り、アンデッドの首の後ろ辺りに前以って準備していた装置に、螺旋状に試験管サイズの容器を埋め込んだ。
その後、装置を使って3本針の注射を打つ。螺旋状にあった青い”何か”がほんの少しの時間で直ぐに中身が空となった。
「よし、ワクチンを打ったぞ。暴れな…こ、こら暴れるな!」
青いワクチンを打たれたアンデットは暴れてゼノビアに襲いかか…ることは無く、しっかりと拘束されている為、暴れようにも暴れることは出来ないでいた。
「あぁ、良かった。死ぬかと思った」
数十秒後、アンデッドはぴたっと静かとなり、真っ黒な瞳をゼノビアに向けた。
「よし、では実験を始めようか」
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第3.5話 「もしや彼女は…」
ガラス張りの部屋の中で、アンディ・ティムソンは椅子に座るアンデットを憂鬱な気持ちで見つめていた。
ゼノビアが新しい研究の為に地上に出て、外に居るアンデットの群れの1体を連れ込んだのはアンディは知っている。そしてこのアンデットには名前が名付けられており、その名もグロッキーと名付けられたのも知っている。
名付けたのはアンディの上司でありこの支部のボスでもあるゼノビア。アンディは理由を聞こうとしていたが現在ではすっかりと忘れていた。
グロッキーの前にはテーブルがあり、デジタルカメラに携帯電話、正しい穴に正しいブロックを入れる玩具が置いてある。
驚いた事にグロッキーは非情に大人しく、真っ黒に覆われた瞳をじっとテーブルの上に置かれている物を見つめていた。
それはゼノビア、アンディ、ムンディの生きた人間が居るのに、だ。ただ静かに座り、置かれている物を見つめている。
だが一応、念の為に手首には拘束具と鎖があり、繋がれた鎖はグロッキーが座る下の床に繋がっているが、ある程度の自由が出来るよう鎖は緩めになっていた。
グロッキーは何か考えているような表情を浮かべているように感じられたが、グロッキーは3つある内のどれかを選ぶ仕草をし、ようやくグロッキーは腐りかけた手をテーブルに置かれている物の一つを取った。もっともその腐りかけた手には黒手袋が装着されている。
グロッキーが取ったのは携帯電話であった。グロッキーは数秒眺めた後、携帯電話をパチっと開いてそれから3人に見せるように、顔を上げて耳に当てた。
「驚いたな。何なのか分かってる…!」
「あぁ、凄いな。きっと生きていた記憶が残っているに違いない…!
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