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スーパーヒーロー戦記
第17話 時の庭園
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よ。それから…あんたに言伝を頼まれてたんだ……【有難う】って」
「あ……うん!」

 なのはは嬉しかった。初めてフェイトからお礼の言葉を聴けたのだ。それは今のなのはにとっては何よりも嬉しい言葉であった。だが、その突如であった。
 通路を走っていたなのはの足元が突如無くなってしまったのだ。

「え?」
「なっ!」

 それは意図的な仕業であった。なのはの足元だけを無くし、彼女を時の庭園から落としてしまったのだ。
 なのはの下に広がっている空間。それは虚数空間と言い、その空間の中ではあらゆる魔法が使用不可となってしまう。当然飛行する事も出来ない。
 まして、今のなのはは魔法すら使う事が出来ない。その為どの道落ちる以外に道はなかった。

「な、なのはぁ!」

 必死になのはに向かい手を伸ばすも、時既に遅し、互いの手は微かに触れ合っただけで終わり、そのままなのはは虚数空間の底へと真っ逆さまに落ちていった。
 アルフの耳から聞こえてきたのは小さくなって行くなのはの叫びだった。そして見えていたのは徐々に姿を消していくなのはの姿であった。やがて、完全にその姿が見えなくなり、その声が聞こえなくなった所で、床は元に戻り、何事も無かったかの様な佇まいとなった。

「あ……あぁ……く、くそぉぉぉぉ!」

 アルフは現れた床に拳を叩き付けた。こんな事をする奴は一人しか居ない。アルフは天を睨み大声で叫んだ。

「ふざけんなぁぁぁ! プレシアぁぁぁぁぁ!」

 アルフが涙を流して叫ぶ。だが、幾ら泣こうが、幾ら叫ぼうが、其処になのはは居らず、全てが空しく過ぎ去っていくだけなのであった。




     つづく
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