第17話 時の庭園
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れを見ていた。如何に魔力を持ち幾多の闘いを経験してきたと言っても、なのははまだ9歳の幼い少女なのだ。そんな少女がこんな経験をして平然としていられる訳がないのだ。泣きたくなっても当然と言える。
やがて、泣き終えたなのはは涙を拭い痛みを堪えて立ち上がった。未だに足取りが重く、フラつく体ではあるがそれでもどうにか二本の足で立ち上がったのだ。
「レイジングハート…起動出来る?」
【申し訳ありません。先ほどDr.ヘルの尋問の際に高圧電流を流されてしまい機能の殆どがショートしてしまっています。今貴方にバリアジャケットを纏わす事は出来ません】
「そっかぁ……」
ガクリとなのはは項垂れた。バリアジャケットが纏えない。それは即ち此処から出られないと言う事になる。だが、纏えたとしてもどの道今のなのはの体力では破るのは到底無理であった。
「私、ずっとこの中に居なきゃならないのかなぁ…」
出られないと知ると、なのはは牢獄の隅で蹲り顔を埋めた。
寂しさ、孤独感、恐怖感、痛み、苦しみ、あらゆる負の感情が一斉になのはに襲い掛かってくる感覚であった。その負の感情に今なのはは押し潰されようとしていたのだ。
皆に会いたい。その思いが強くなのはの中にあった。だが、それは敵わぬ願いだった。
此処は何処とも知れぬ時の庭園。そして自分は牢獄の中に閉じ込められている。そして、今の自分は何の力も持たない只の子供。
絶望するには充分過ぎる内容であった。
だが、そんな時、牢獄に誰かが入ってくる音がした。足音は徐々にこちらに近づいてくる。初めは暗くて見えなかったが、近づくにつれてその顔はハッキリと見えるようになった。
やってきたのはアルフだった。
「ア…アルフさん」
「有難うよ。家のご主人様を助けてくれてさ……今出してやるからさ」
そう言い、アルフは目の前の装置を操作し、なのはを閉じ込めていた牢獄の結界を解除した。音を立てて周囲の結界が消えていく。
晴れて自由の身となったなのははゆっくりと立ち上がり、牢獄から歩み出る。
すると、そんななのはをアルフは強く抱き締めたのだ。
「アルフさん? 一体どうしたんですか?」
「有難うよ。フェイトを守ってくれて…本当に有難う。あんた…良い子なんだねぇ」
見ればアルフは大粒の涙を流していた。彼女にとってフェイトはとても大切な存在なのだろう。そのフェイトを身を挺して守ってくれたなのはにアルフは感謝の気持ちで一杯だったようだ。
やがて、なのはから離れると、今度はその手を握って牢獄から出た。
「フェイトが言ってたんだ。あんたを下界に戻してくれって。だから、あたしが連れてってやるよ」
「フェイトちゃんが? あの、フェイトちゃんは大丈夫ですか?」
「あぁ、あんたのお陰で元気だ
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