第17話 時の庭園
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り扉だけでもその存在感は大きかった。思わず目が飛び出しそうになるのをグッと堪えながら扉を見た。
ふと、扉の隅で蹲っている何かを見つけた。それは、ついさっき自分の背中を押し叩いてくれたアルフと言う女性だ。あの時はあれだけ芯の強そうな女性であったのに、今目の前に映っているのはまるで子が親を恐れているように蹲り、耳を押さえて震えていた。
「アルフ…さん?」
「あ、あんた…なんだって此処に!?」
なのはの声を聞き、アルフは震える目蓋を持ち上げてなのはを見た。何故此処に来たか? その疑問を問い正すよりも前に扉の奥から何かが聞こえてきた。
それは、何かを叩く音であった。とても生々しく、痛々しい。恐らく柔らかいもの、言うなれば人の体などを何か撓る物で叩く様な嫌な音だった。
そして、もう一つ聞こえてきたのは苦痛の叫びであった。痛みを堪えようとしているが、それでも痛さに負けて声が出てしまっている。
そんな感じの声だった。そして、その声の主をなのはは聞き覚えがあった。
「この声…フェイトちゃん!」
そう、その声の主は紛れもなくフェイトであった。そのフェイトが扉の奥で何者かに叩かれて悲痛の声を上げている。一体何故? 何故フェイトがそんな声をあげねばならないのか? 何故、アルフは助けに行かずその場で蹲っているのか? 全ての疑問を解き明かす為、なのはは重い二枚扉のノブに手を掛けた。
「ば、馬鹿! 行っちゃ駄目だって!」
「だって、フェイトちゃんあんなに苦しんでるんですよ! 黙ってみてられません!」
アルフの制止を振り切り、なのはは思い切り扉を開いた。その奥で映し出された光景は目を見張る光景であった。
其処にあったのは両手を鎖で繋がれ、宙吊り状態となり、ボロボロになったフェイトと、撓る物を持ちフェイトをたたき続ける女性の姿があった。
女性は紫の長髪で同じ色の口紅を使い、胸がはだけた上着と丈の長いスカートの組み合わせの服装をしていた。その女性が今、フェイトを叩き続けていたのだ。
なのはは一瞬その光景に飲み込まれそうになったが、やがて自然に体が動いた。
「止めてぇぇ!」
声を張り上げ、脇目も振らずまっすぐに走り、そして撓る物がフェイトに襲い来る方向に背中を向けて立ち塞がった。
乾いた音が響いた。それと同時に背中に強烈な痛みが走った。撓る物で叩かれた為に皮膚が赤くなり内部にまで痛みが信号として伝わってきたのだ。
余りの痛さに背中から感じた痛みが背骨を通り越して胸部にまで突き抜けていった。
痛さに膝が折れそうになったが、それでもなのはは歯を食いしばり立った。
「な…なのは…」
体中鞭で打たれ続け、意識も朦朧とした状態の中、自分を庇ってくれたなのはを見たフェイトは掠れた声でありながら
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