#1 邂逅(ENCOUNTER)
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ほむらの頭の中は混乱していた。彼が何者で、どうしてここにいるのかを確かめる必要がある。だが、その直感はまだ彼を完全には信じられないと告げていた。だからこそ、彼女は問いを返さずに、その場で警戒を続けた。
ほむらの決断――
その一瞬の間に、ほむらは自らの心の中で結論を出した。彼がどうであれ、この場での優先事項は魔女を倒すこと。魔女が動き出せば、周囲の街にも危害が及ぶ。目の前にいるこの「エックス」と名乗る存在に時間を割く余裕はない。
彼女は素早く武器を構え、エックスに向かって冷徹に言い放った。
「動かないで。今は説明している場合じゃない。あいつを倒すのが先よ」
エックスはその言葉を聞き、理解したのか、すぐに自身のバスターを構えた。彼もまた戦士であり、敵が現れるのを待つかのように冷静な態度を取っていた。
エックスが前方を睨むと、霧のような紫がかった空間に変わったシルエットが浮かび上がってきた。異形の存在が、ゆっくりとその姿を現す。巨大なキャンバスのような体、体全体に広がる絵具のような模様、歪んだ形状の手足がまるで絵筆のように空をかすめ、奇妙な存在感を放っていた。
「なんだ、この姿は……?」エックスは眉をひそめながらも冷静に状況を分析する。
この魔女、アローニアはかつて一人の孤独な少女だった。自分の芸術を認められたいと強く願い、キュゥべえとの契約によって魔法少女となったが、その願いは叶うことなく、絶望の果てに魔女へと変貌してしまった存在だった。彼女の結界は、まるで夢と現実が交錯したかのような異空間で、無数の未完成な絵が空間を埋め尽くしていた。
突然、アローニアの長い腕が空間を引き裂くように動き、空中に浮かんでいた無数の筆が急激に飛び出してきた。鋭利な絵筆がエックスとほむらに向けて襲いかかる。
「避けて!」ほむらが鋭い声で警告すると同時に、エックスは反応速度を最大に引き上げ、瞬時に横へ飛び退いた。彼のアーマーが青白い閃光を放ち、重力を無視するように軽やかに回避する。
「奴は物理攻撃だけじゃない、気をつけろ!」エックスは周囲を警戒しつつ、チャージショットを放つ準備を整えていく。
アローニアは攻撃の手を緩めることなく、次々に絵具の塊を放ってきた。その一つ一つが触れると、空間そのものが塗り替えられ、歪みが生じていく。ほむらは素早く時間停止の魔法を発動し、弾丸のように放たれる絵具の塊を一瞬の隙間で避けた。
「時間を止めても、この空間の変化は厄介ね……」ほむらは息を呑みながら、周囲の異常な変化に警戒を強める。
エックスはその間にチャージを完了し、鮮やかなエネルギーがバスターに集まった。「ターゲットロック完了。」彼は冷静にアローニアを狙い、チャージショットを放った。
青白い光線が空間を
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