#1 邂逅(ENCOUNTER)
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エックスが、彼女の視界に入ってきたのだ。
「……何者?」
ほむらの胸に浮かんだのは疑念と不安だった。この街に彼のような存在がいたことは今まで一度もなかった。何度も同じ時間を繰り返し、この街の魔女や魔法少女、そして人々のことを理解してきたはずの彼女にとって、この異物のような存在はあまりにも不気味だった。
「あの男は、敵なのか、それとも……」
彼の姿を捉えた瞬間、ほむらの頭には無数の可能性が駆け巡った。彼が魔女に関係しているのか、それとも魔法少女のように別の異世界からやって来た存在なのか。だが、一つだけ確かなことがあった。それは、彼が自分の知っている世界の秩序から外れた存在であるということだ。
ほむらは慎重に彼の動きを観察しつつ、冷静に距離を詰めた。彼が自分に敵対するつもりなら、即座に対処しなければならない――そう考えながら、彼女は武器である盾を構えた。
だが、エックスはその場で振り返り、彼女に向かって言葉を発した。
「俺はエックス。ここには、気づいたら飛ばされていたんだ。君は?」
その言葉を聞いた瞬間、ほむらの中にわずかに動揺が走った。彼の声には、敵意が感じられなかった。まるで、自分と同じようにこの異常な状況に巻き込まれたかのような響きだった。
しかし、彼の姿――装甲に包まれた体、機械的な部分は、完全に普通の人間ではありえないものだ。それでも、その瞳には確かに人間のような感情が宿っているように見えた。少なくとも、この時点で彼が魔女や魔女の使い魔のような存在ではないことはほむらにも理解できた。
「……ただの異世界の存在? それとも……」
ほむらの頭の中は混乱していた。彼が何者で、どうしてここにいるのかを確かめる必要がある。だが、その直感はまだ彼を完全には信じられないと告げていた。だからこそ、彼女は問いを返さずに、その場で警戒を続けた。
ほむらの決断――
その一瞬の間に、ほむらは自らの心の中で結論を出した。彼がどうであれ、この場での優先事項は魔女を倒すこと。魔女が動き出せば、周囲の街にも危害が及ぶ。目の前にいるこの「エックス」と名乗る存在に時間を割く余裕はない。
彼女は素早く武器を構え、エックスに向かって冷徹に言い放った。
「動かないで。今は説明している場合じゃない。あいつを倒すのが先よ」
エックスはその言葉を聞き、理解したのか、すぐに自身のバスターを構えた。彼もまた戦士であり、敵が現れるのを待つかのように冷静な態度を取っていた。
エックスが前方を睨むと、霧のような紫がかった空間に変わったシルエットが浮かび上がってきた。異形の存在が、ゆっくりとその姿を現す。巨大なキャンバスのような体、体全体に広がる絵具のような模様、歪んだ形状の手足がまるで絵筆のように空をかすめ、
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