#1 邂逅(ENCOUNTER)
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前に仕組まれていたプログラムを発動し、エックスの体にアクセスし始めたのだ。それは、彼を守るためにライト博士が残した最後のシステム――ゼロとの記憶を消去し、彼の心の負担を軽減させるためのものだった。
エックスは自らのデータに何かが操作されている感覚をかすかに感じながらも、意識を失いかけていた。博士はただ静かに、エックスを見守っていた。
再び目覚めたとき――
数時間後、エックスは無傷の状態で目を覚ました。身体は完璧に修復されていたが、彼の心には微妙な空白が広がっていた。
「……何かが……足りないような気がする……?」
ゼロに関する全ての記憶は消去されていたが、エックスはその喪失を明確には理解できなかった。彼はただ、何かが欠けているような感覚を抱きながらも、その理由を掴むことができなかった。
ライト博士のホログラムは消えており、彼の記憶を消したという事実は、エックスには知らされていなかった。
「……これからは、前に進むしかない」
エックスは自分自身に言い聞かせた。彼が夢見る「ヘブン」の実現に向けて――その歩みを再び始めるために。
21XX年――
ライト博士によってゼロの記憶が消された後も、エックスは戦い続けていた。しかし、心の中の空虚さは埋まらないまま。無数の戦場を駆け巡り、イレギュラーたちを鎮圧していく日々が続いていたが、彼の目指す「ヘブン」はまだ遠い理想のままだった。
エックスは、未来の平和のため、戦闘以外にも様々な調査活動を行うことを決意していた。レプリロイドと人間が共存できる世界を作るためには、もっと深い理解と新たな技術が必要だと考えたのだ。だが、その中で、彼の前に思いもよらない異常事態が発生する。
ある日、エックスは研究施設で新しいエネルギー源について調査をしていた。そのエネルギーは未知のものであり、エックス自身も警戒しながらも慎重に分析を進めていた。だが、そのエネルギーが急に不安定になり、制御不能に陥った。
「何だ、このエネルギーは……!?」
装置が急激に異常反応を示し、エックスは即座に手を打とうとしたが、反応は加速するばかりだった。計器類が乱れ、辺り一面がまばゆい光に包まれる。次の瞬間、空間そのものが歪み、時空に裂け目が現れた。
エックスは即座に戦闘モードに移行し、周囲を警戒する。しかし、その歪みはただのエネルギー反応ではなかった。時空そのものを捻じ曲げ、次元の壁を越えていくかのような力がエックスを襲った。
「まさか……時空が……崩壊しているのか?」
自らの体が次元の裂け目に引き寄せられる感覚を感じ、エックスは全力で抗おうとしたが、その力はあまりに強大だった。装置の制御が利かなくなり、エックスはそのまま光の渦に飲み込まれた。
目覚めたとき―
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