#1 邂逅(ENCOUNTER)
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21XX年――
シグマとの戦いは熾烈を極め、エックスとゼロの二人は全力でシグマに立ち向かっていた。幾度も繰り返された宿命の戦い――今回も、エックスは激戦の中で無二の戦友と共に闘い続けた。
「ゼロ……!」
エックスの叫びと共に、ゼロは致命傷を負い、その場に崩れ落ちた。シグマの笑い声が遠くに聞こえる中、エックスは悲しみと怒りを胸に、最後の力を振り絞り、シグマを撃破した。しかし、自身も深刻なダメージを受け、エックスはその場に倒れ込んだ。
静寂の中で――
エックスが次に目を開けたとき、目の前にはホログラム――ライト博士の姿が浮かんでいた。穏やかな表情でエックスを見つめる彼は、未来を見据え、エックスに語りかける。
「エックス、おまえは多くの戦いをくぐり抜け、今や心身ともに限界に近づいている。しかし、おまえがこれから進むべき道はまだ終わっていない。だが、おまえの心にはあまりにも深い傷が残っている……」
ライト博士はエックスを気遣いながら、彼の負った傷だけでなく、心の中に抱えている重圧に言及した。その言葉に反応しようとするエックスだったが、激しい戦闘による疲労で意識は朦朧としていた。
「ゼロ……」
ぼんやりとその名を口にするエックス。しかし、ライト博士の表情はわずかに曇った。その瞬間、ホログラムである博士の姿はわずかに揺らぎ、次の言葉に決意がこもる。
「エックス……おまえの未来のために、私はある処置を施す必要がある……」
ライト博士の言葉と共に、かすかにエックスのボディが光を帯び始める。ホログラムとしての博士は、直接手を動かすことはできないが、事前に仕組まれていたプログラムが、エックスの体にアクセスし始めたのだ。それは、彼を守るためにライト博士が残した最後のシステム――ゼロとの記憶を消去し、彼の心の負担を軽減させるためのものだった。
エックスは自らのデータに何かが操作されている感覚をかすかに感じながらも、意識を失いかけていた。博士はただ静かに、エックスを見守っていた。
再び目覚めたとき――
数時間後、エックスは無傷の状態で目を覚ました。身体は完璧に修復されていたが、彼の心には微妙な空白が広がっていた。
「……何かが……足りないような気がする……?」
ゼロに関する全ての記憶は消去されていたが、エックスはその喪失を明確には理解できなかった。彼はただ、何かが欠けているような感覚を抱きながらも、その理由を掴むことができなかった。
ライト博士のホログラムは消えており、彼の記憶を消したという事実は、エックスには知らされていなかった。
「……これからは、前に進むしかない」
エックスは自分自身に言い聞かせた。彼が夢見る「ヘブン」の実現に向けて――その歩みを再び始めるために。
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