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葡萄が変わり
第二章

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 それでだ、王も色々薬をやったり医者に診てもらったりしていたがよくはならなかった。近頃では死にたいとも言っていて余計に不安であった。
 そんな中でだ、妃は遂にだった。
 死のうと思い毒となっていると言われていたその葡萄の液をこっそりと飲んだ、すると次の日にだった。
「何と、死ぬどころかか」
「はい、この通りです」 
 王に晴れやかな顔で言うのだった。
「気持ちがです」
「楽になってか」
「そして」
 そのうえでというのだ。
「非常に美味しく」
「液はか」
「よく寝られました」
「そうなのか」
「毒どころか」
 妃はさらに言った。
「まるで薬です」
「そうか、それではな」
 王は妃の言葉を聞いてだった。
 彼も飲んでみた、すると。
「確かにな」
「美味しいですね」
「こんな美味いものははじめて飲んだ」
 傍らにいる妃に答えた。
「そして飲むとな」
「気分がよくなりますね」
「そうなる、これは毒ではない」
 断じてというのだ。
「妙薬だ」
「そう言っていいですね」
「まことにな、だからな」
 それ故にというのだ。
「余はこれからもだ」
「この葡萄の汁を飲まれますか」
「造ってな」
 そのうえでというのだ。
「そうしたい」
「そうされますね」
「是非な」
 その葡萄の汁を飲みつつ言った、そして実際に王はそれからもその汁を飲んでいった。
 後にこの汁はワインと呼ばれる様になった、この酒が生まれたのはこの時であった、ペルシアに伝わる古い話である。


葡萄が変わり   完


                    2024・3・14
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