第三章
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「周りにないとね」
「不思議ね、逆にあったら」
「不思議じゃないのよ」
「そう言われるとわかるわ」
それならとだ、アンリエッタはハンナに答えた。
「私も、雪が積もって」
「この国だと普通よ」
「そのことがね」
見れば二人共厚着である、特にアンリエッタは寒さに慣れていないのかハンナ以上にそうなっている。
「もうね」
「不思議ね」
「幻想的よ、白夜とかオーロラとか」
「この国の北に行けばあるわよ」
「そういったものもね」
「ないから」
「これから観に行くけれど」
それでもというのだ。
「この世にはない様な」
「不思議で幻想的な」
「そういったもので」
それでというのだ。
「わかるわ」
「この植物達に思う私達のそれが」
「よくね、それじゃあね」
アンリエッタはさらに話した。
「明日からね」
「白夜とオーロラ観に行くのね」
「そうするわ」
笑顔で言ってだった。
そのうえで今は植物園にいた、そしてこの国の料理をハンナと一緒に食べて今度はこんなことを言った。
「温かいお料理多いわね」
「寒いからね」
それでとだ、ハンナは彼女と同じものを食べつつ応えた。
「だからよ」
「温まる為ね」
「お酒だってね」
こちらもというのだ。
「そちらの国のカクテルよりも」
「蒸留酒をそのままね」
「ウォッカとかを飲んで」
そうしてというのだ。
「楽しむのよ」
「そうするのね」
「スポーツもウィンター系で」
「こっちは泳ぐけれど」
「全く違うのよ」
「同じ世界にあっても」
「気候が違うと」
「植物も自然環境もそうで」
そうであってというのだ。
「それでね」
「食べものもなのね」
「そうよ、温まるでしょ」
「ええ、外は寒いけれど」
アンリエッタは肉や野菜がふんだんに入ったシチューを食べつつ応えた。傍には焼き立ての肉と濃厚なサラダにパンもある。
「けれどね」
「それでもよね」
「温まるわ。お部屋も暖房があるし」
三重のドアや窓に覆われた店の中で言った。
「ここだけで私の国にはない」
「そうしたでしょ」
「凄く不思議で」
そうしてというのだ。
「幻想的よ」
「そう思うのね」
「心からね」
明るい笑顔で言った、そうしてだった。
オーロラと白夜の話もした、そちらの話も彼女にとっては不思議で幻想的なもので祖国に帰ってからも話すことになったのだった。
不思議幻想郷 完
2024・3・15
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