第二章
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「ここはです」
「そうされますか」
「はい、そうします」
こう言ってだった。
ハンナは祖国に帰ると知り合いの植物学の教授に旅行でのことを話した、すると教授も目を見開いて言った。
「私の専門は冷帯や寒帯の植物だったが」
「そうですね」
「しかし」
初老の白髪の男で髪の毛をオールバックにしている、面長の顔で目はグレーだ。
「そうした植物達があるなら」
「それならですね」
「政府、文部省に話して」
そうしてというのだ。
「植物園の中に」
「そうした植物達のコーナーをもうけますか」
「温室にして」
そのうえでというのだ。
「やっていこう」
「それでは」
ハンナは教授の言葉に笑顔で頷いた、そうしてだった。
教授はすぐに動き国立植物園の一角にだった。
音質が設けられそこにハンナが旅行先で観た多くの植物達、花や果実が実る木が入れられた。すると。
そこに入った人達は誰もがだ、こう言った。
「こんな植物があるなんて」
「こんなお花があるなんて」
「こんな果物があるなんて」
口々に言うのだった。
「嘘みたいだ」
「信じられない」
「夢の中にいるみたいだ」
「不思議だよ」
「普通なのに」
ここでこう言った者がいた、それはというと。
アンリエッタだった、彼女はハンナの招待を受けて休暇を利用してこの国に来て植物園に入ってその植物達を見て言った。
「こうした植物は」
「貴女の国ではね」
その彼女にハンナが言った。
「そうよ、けれどね」
「こちらでは違うのね」
「寒くて」
そうした気候でというのだ。
「針葉樹が多いのよ」
「熱帯の植物でなくて」
「そうした国だから」
だからだというのだ。
「こうしたお花に果物に」
「植物は」
「とても不思議で」
そういったものでというのだ。
「ここにいたら幻想郷によ」
「いるみたいな気持ちになるのね」
「そもそもレモンやバナナなんて」
アンリエッタの国では普通にある果物もというのだ。
「お野菜だとパイナップルだって」
「なくて」
「それでよ」
そうであってというのだ。
「もうね」
「こうした植物達も」
「とても不思議で」
「幻想的なのね」
「そう思えるのよ」
「つまりあれね」
アンリエッタはハンナの話を聞いてこう言った。
「自分達の国にないものだから」
「そう、不思議でね」
ハンナもその通りだと答えた。
「それでよ」
「幻想的なのね」
「そうしたものによ」
「思えるのね」
「そういうことよ、この世にあるものでも」
自分達が暮らしている世界にというのだ。
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