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電気花
第二章

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 オレンジ、黄色、緑、黄緑となり。
 青、藍色、紫となりまた赤になった。ゆっくりと色を変えながら光るその花を見て妻は微笑んで言った。
「まだ動くわね」
「ああ、四十年前に買って」
「それでずっと動かしてなかったけれど」
「それがな」 
 その花がというのだ。
「まだ動くな」
「そして開くはね」
「凄いな、それならな」 
 妻にその花を暗がりの中で見つつ笑顔で話した。
「時々でも」
「こうしてね」
「見ようか」
「それがいいわね」
「そして」
 妻にさらに話した。
「よかったら幹夫達にもな」
「見せてあげるのね」
「あの花が今もこうしてあってな」
 そうしてというのだ。
「動いて」
「今も奇麗だってね」
「見せてやるか」
「それがいいわね」
 こうした話をして実際にだった。
 息子夫婦が孫達を連れて実家に帰った時に見せるとだ、息子は喜んで言った。
「まだあってまだ動くなんて」
「凄いな」
「驚いたでしょ」
「全くだよ、ただ」
 それでもとだ、息子は父に話した。
「僕も驚いているけれど」
「奇麗ね」
「そうよね」
 高校生の孫達が話していた、二人共背が高く明るい整った顔立ちで黒髪には光沢がありスタイルもいい。
「本当に」
「こんなのあるなんてね」
「娘達が特に驚いているから」
 息子は自分の妻そっくりの整った外見の娘達を見て話した。
「それで喜んでるし」
「いいか」
「そうだっていうのね」
「うん、いや本当にこうして動いて」
 今もというのだ。
「奇麗なんてね、懐かしくて子供達も喜んでいるし」
「私もよ」
 幹夫の横から彼の妻の忍も言って来た、娘達に遺伝を受け継がせている美人である。
「いいもの見せてもらってるわ」
「そう言うんだな」
「ええ」  
 笑顔での返事だった。
「だから私達もね」
「買おうか」
「そうしましょう」
「そうだね、奇麗だしね」
 幹夫は妻に笑顔で応えた。
「久し振りに見てもね」
「一家で見てもいいし」
「そうしましょう」
「そうだね」
「わし等もな」
 秋信も真美子に言った。
「これからもな」
「ええ、まだ動くし」
「時々でもな」
「見ていきましょう、こうしたお花もいいわね」
「全くだ、自然のお花もいいが」
「こうしたお花もね」
「見ていいものだからな」 
 これからも見ていくとだ、夫婦で話してだった。
 そこにいる全員で機械の花を見た、静かに回り輝くその花は実に奇麗だった。暗闇の中で誰もを魅了する美しさがありそこにいる全員をうっとりとさせていた。


電気花   完

 
                   2024・4・15
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