第二章
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けれどさんふらわあは違った、本当に外国の豪華客船にいるみたいな楽しい旅だった。九州に行った帰りに乗ったけれど正直皆九州よりこの船の方が記憶に残った。これは私だけでなくサークルの皆がそうだった。
これは私が大学生の頃のことだ、その時から歳月が流れ。
令和になって暫く経った今もわたしはさんふらわあに乗っている、今度はサークル仲間とでなく主人と娘夫婦それに孫と三世代での旅行の中で乗っている。
小学生の孫は船の中をあちこち歩いている、その中で私にこんなことを言った。
「去年お父さんお母さんとイギリスに行った時にも船に乗ったけれど」
「そうなの」
「こっちの方がいいかな」
今のさんふらわあの中で言うのだった。
「そう思うよ、僕」
「そうなのね」
「うん、大きいし奇麗だしお料理美味しいし」
それでというのだ。
「この船の方が僕好きだよ」
「この船は昔からあってね」
私は孫に笑顔で話した、昔のさんふらわあと今のさんふらわあは名前は同じでも新しい船になっていることは言わなかった。
「その時は日本にこんな凄い船が出来たのかって思ったのよ」
「お祖母ちゃんが何歳位の時?」
「大学生で二十歳の頃よ」
私は孫に笑顔で答えた。
「もう五十年位昔ね」
「僕そんな頃知らないよ」
「生まれてないからね。けれどその特にはじめて乗って」
まさにその時を思い出しながら話した。
「凄くいい船だって思ったのよ」
「そうだったんだ、じゃあ今はどうなの?」
孫は私に顔を向けて聞いてきた。
「お祖母ちゃんこの船好き?」
「大好きよ、今もこうして乗ることが出来て」
私は孫ににこりと笑って答えた。
「お祖母ちゃん幸せよ」
「そうなんだ」
「ええ、だから楽しい思いしてるわ」
「僕と同じ?」
「そうよ、じゃあ船にいる間お祖母ちゃんと一緒に楽しむ?」
「うん、そうしよう」
孫は私の申し出ににこりと笑って頷いてくれた。
「お祖母ちゃん一緒に楽しもう」
「それじゃあね。こっちに来たら奇麗な海が見えるよ」
「うん、海一緒に見よう」
「さあ、お祖母ちゃんが手をつないであげるわね」
私は孫の手を取った、そして海が一番見える場所に一緒に行って海を見た。
海はあの時は殆ど見なかった、それよりもプールで泳いでレストランで乾杯していた。けれど今は違っていた。
さんふらわあも代替わりしていて私は歳を取った、日本もこうした船が普通と言える位になった。けれどそれでもだ。
私はこの時もさんふらわあを楽しんだ、あの時はサークル仲間とそうして今は家族とそうした。そして今も楽しいと心から思った。
Sunflower 完
2024・3・31
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