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北朝鮮はいい国
第五章

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「それだけでな」
「そうなるんだな」
「そうだ、ただな」
「ただ?」
「その馬鹿だけじゃないんだ」
 苦い顔で言うのだった。
「そんなことを言う奴はな」
「そういえば組合でもって言ってたな」
「父ちゃんの会社の組合でもな」
 そちらでもというのだ。
「いるんだよ」
「そうした奴がか」
「その先生北朝鮮に行ったことあるか」
「ああ、そんなことも言ってたよ」
 重太郎は父の言葉にこのことを思い出した。
「そういえば」
「それで言ったんだな」
「どれだけいい国かってね」
「父ちゃんの会社の組合でもな」
 そこでもというのだ。
「いてな」
「北朝鮮に行った人はか」
「いてな」
 それでというのだ。
「そんなこと言ってるんだよ」
「今でもか」
「いい国だってな」
 その様にというのだ。
「そうでな、それでな」
「それで?」
「あの国はシンパしか入れないんだよ」
 自分の国にというのだ。
「反感持ってる人はな」
「入れないんだな」
「そこを誤魔化して入る人もいるが」
「それでもか」
「基本そうでな」
「最初から北朝鮮が好きでな」
「それで嘘のいいものを見せられてな」
 そうなりというのだ。
「余計にな」
「あの国が好きになってか」
「馬鹿なことを言うんだよ」
「あの国についてはそうなるんだな」
「ああ、そしてな」
 父は話を続けた。
「日本で言われてることをな」
「信じないんだな」
「えれどどっちが嘘か」
「北朝鮮だよな」
「見ろ、将軍様だけ太っていてな」
 世襲の独裁者のみがというのだ。
「周り痩せてるな」
「食うものないからだよな」
「将軍様だけいつも腹一杯食ってるからな」
 それ故にというのだ。
「ああしてだよ」
「太ってるんだな」
「それだけでおかしいだろ」
「そうだよな」
「それを見ただけでもおかしいってな」
 その様にというのだ。
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