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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第221話:導きの笛吹き
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「ハァッ!」
「フンッ!」

 背後に居る未来とエルフナインを守るべく、勇ましく戦い剣を振るう翼。対してベルゼバブは、そんな彼女の奮闘を嘲笑う様に得意の簡易版コネクトとも言うべき時空を繋げる魔法で彼女の攻撃を空振りさせつつ、自分の攻撃は視覚から放つと言う戦法で彼女を追い詰めていた。

「脇ががら空きだ!」
「ぐぅっ!?」
「翼さんッ!?」

 変幻自在、何処から来るか分からない攻撃を前に、翼は苦戦を強いられていた。これが普通に技巧による変幻自在な攻撃であればまだ対処のしようもあるが、ベルゼバブのそれは技巧云々の話ではなく魔法を用いたインチキな戦いであった。魔法で空間を繋げて翼の攻撃を明後日の方向へ逃すのは勿論、時には翼自身の攻撃で翼を攻撃する事もある。そしてもちろん、自分の攻撃を翼の死角へ移動させて完全に不意を衝く攻撃で追い詰める。
 今までに戦った事のないタイプの攻撃をしてくるベルゼバブに、翼は体のあちこちを傷だらけにしつつもまだ膝をつく事無く立ち塞がっていた。

「はぁ……はぁ……」
「フフッ、そろそろ限界か? 邪魔をしなければ見逃してやるぞ?」

 余裕を感じさせるベルゼバブの言葉に、翼は思わず歯噛みした。確かに、今の彼女ではこの魔法使いを相手に勝つ事は難しいかもしれない。だがしかし、だからと言って諦めると言う道理は彼女に存在しなかった。

「甘く見てくれるな、魔法使い! 例えこの身砕けようと、友の為、仲間の為に諦めるなどと言う選択が出来ようか!」

 つまりは諦めるなどしないと言う事。いっそ愚かとも言える選択をする翼に、ベルゼバブは嘲笑を隠しもしない。

「フン、そうか。ならば勝手にしろ。お前の死をオードブルに、ウィザードやキャスター達を絶望と言うフルコースに叩き込んでやる!」

 言うが早いかベルゼバブは剣を構えて刺突を放つ。もう今の翼にそれを防いだり躱すだけの力は無く、ただ迫る凶刃を睨み付けるしか出来ない。それでも彼女は僅かな可能性に賭ける様に、己の全身全霊を持ってその一撃に自身の刃を合わせて攻撃を逸らす事を狙い剣を振るった。

 だがそれは明らかな誘い。本命はそうして剣を振るった事で出来た隙をつく事であった。それに気付いたエルフナインが制止の声を上げるが時既に遅しだった。

「翼さん、駄目ですッ!? 今は……!」

 エルフナインの叫びも空しく、翼の振るった刃がベルゼバブの剣に触れそうになる。その瞬間、ベルゼバブは再び空間を繋げて翼の剣を空振りさせようと目論み…………









 直前で周囲に笛の音が響き渡ったかと思うと、何事も起きる事無くベルゼバブの剣は翼の剣により弾かれ腕ごと頭上へと跳ね上げられてしまった。

「何ッ!?」
「そこだッ!」

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