暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第221話:導きの笛吹き
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どうやら輝彦は発令所でのごたごたの方が忙しくて、アリス達が今どうしているかを知らないらしい。或いはアリスの方も、輝彦に事情を知らせる間もない程の状況に陥っている可能性もある。
情報共有の意味も込めて颯人が輝彦に詳しい状況を説明しようとしたその時、輝彦の持つスマホが着信音を鳴らした。どうやらアリスからの連絡が来たらしい。
「む、噂をすればだな」
「父さんもスマホ使うんだな」
「何を当たり前の事を言っている。別に魔法ばかりを使う訳ではない。もしもし、どうした?」
輝彦が通話に出ると、スマホの向こうからアリスの焦ったような声が聞こえてきた。
『輝彦さんですか! 緊急事態です!』
「何事だ? ハンスが消えたらしいと言うのは今颯人から聞いたばかりだが?」
努めて落ち着いて輝彦が応答すると、そこまで聞いているのであれば話は早いとばかりにアリスが捲し立てた。
『敵の狙いはキャロルさんかエルフナインさん、そして恐らく未来さんです! 風鳴司令によると、現在街で未来さんとエルフナインさんが翼さんに守られて危機的状況にあると……あっ!? キャロルさん、待って!?』
「アリス、どうした? 何があった?」
何やらひどく焦った様子のアリス。向こうもただ事ではない様子に、颯人は聞き耳を立てながら次の戦いの準備をしていた。
『すみません、一瞬目を離した隙にキャロルさんが外へ! 恐らく、ハンスさんを探す為かと!』
「えぇい、次から次へと。兎に角アリス、お前は風鳴 翼の元へ向かえ。場所は風鳴 弦十郎から凡そは聞いているだろ」
『分かりました! キャロルさんの方は?』
「それはこちらで何とかしておく」
そうして手短に次の行動を確認し合うと、輝彦は通話を切りスマホを懐に仕舞った。そして颯人の方を見れば、彼の方は何時でも準備できていると頷きテレポート・ウィザードリングを嵌めた右手を掲げた。
「準備できてるぜ。取り合えず奏の所に行けばいいか?」
「そうだな、そちらは任せる。あっちにも魔法使いが出張っているだろう。精々派手に相手してやれ」
「了解っと!」
〈テレポート、プリーズ〉
颯人が一足先に魔法で街へと向かう。それを見送って、輝彦はキャロルを探す為使い魔を召喚しそれを飛ばした後自分も本部の外へと向かった。
〈プラモンスター、ナーウ〉
「キャロルを探し出せ。見つけたら教えろ」
召喚したホワイトガルーダが一声鳴いて本部の外へと飛んでいく。輝彦はそれを見送ると、一度ミラアルクを医務室へと連れていきベッドに寝かせてから自身も本部の外へと向かっていくのだった。
***
本部潜水艦内での騒動が一段落した頃、街では翼とベルゼバブが激しい戦いを繰り広げていた。
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