暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第221話:導きの笛吹き
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ずに生身で肘鉄をお見舞いし妨害した。
「ヌンッ!」
「ぐっ!?」
完全に颯人にばかり意識を向けていたミラアルクは、輝彦からの奇襲に対応できず脇腹に肘鉄を喰らい体をくの字に曲げて大きく吹き飛ぶ。受け身も取れず床に激突し咳き込むミラアルクを見ながら、輝彦はコートの襟元を正して軽く身だしなみを整えながら蹲る颯人に手を貸した。
「存外苦戦したようだな?」
「しゃーねーだろ、アイツ思ってた以上に強いんだよ。本気出せばあれくらいできるってのに、勿体ねえ。それより、父さんがここにいるって事は?」
「あぁ、向こうはそろそろ大人しくなってる頃だろ」
発令所では今頃、激臭のあまり査察官達が泡を吹いて気絶しているに違いない。毒ガスの類ではない為命に別状はないだろうが、あちらの状況を想像して颯人も思わず胸の中で十字を切った。勿論、胸の内とは言え形だけだ。胸の内で十字を切りながら、その顔は彼らに対してざまあみろと言う感情を隠しもしていなかった。
そんな事を考えている颯人に、輝彦は愛用の帽子を外すと中身を見せる様に彼の前に差し出した。
「あぁそれと、これもな」
そう言って差し出してきた輝彦の防止の中には、先程颯人が担保として査察官に渡したはずの5つの指輪が入っていた。何故輝彦がこれを持っているのかと言えば答えは単純で、先程颯人が査察官に変装して騒ぎを起こした際輝彦の誘導で査察官は受け取った指輪を一度取り出すとそれを乱暴に上着のポケットの中へと突っ込んでいた。それで輝彦は指輪のある場所を把握し、頃合いを見て騒ぎを起こしてどさくさに紛れて指輪を回収。ついでに査察官達が余計な真似をしない様にと閉じ込めて無力化したと言う訳である。
言ってしまえばこの程度の事でしかないが、この2人の恐ろしい所はこれを事前の打ち合わせも無く簡単なアイコンタクトだけで成し遂げてしまう事であった。颯人は自分の意図が輝彦に伝わっていた事を理解し、仮面の下で嬉しそうに破顔しながら指輪を受け取った。
「サンキュー! いやぁ、流石父さん。俺の考えをよくご存じで」
「何を言っている。お前の考えなんぞお見通しに決まってるだろうが」
颯人に指輪を渡しながら、自身も変身する為に左手の中指に指輪を嵌めハンドオーサーを反転させた。
「変身……!」
〈チェンジ、ナーウ〉
白い魔法使いとしての姿に変身した輝彦。そして颯人もダメージから回復し、呼吸を整えながら立ち上がった。これで状況は2対1。2人の魔法使いを前に、ミラアルクは唯一障害の無い後方へと後退りしながら身構えている。
颯人と輝彦もそれに合わせてゆっくりと迫りながら、どうやってミラアルクを拘束しようかと頭を働かせた。
「それにしても、面倒な事になったな」
「同感。コイツどうやって
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