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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#8
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まったけれど、これなら討つことができるかもしれない。今のは、思ったよりも、少し発動時間がかかってしまった。もっと発動時間を短縮できれば─────)

 何となく魔素が多い地中を発動の起点にしてしまったが────次は、地中ではなく、もっと表層にした方がいいだろう。

(後は、“氷姫”にもっと速く魔力を回らせることができれば─────)

 セレナは、両手に魔力を流して────掌を魔力で満たして、両手で“氷姫”を握る。両面から魔力を一気に流せば、もっと速く魔力を行き渡らせることができるはずだ。

 できるだけ掌に“氷姫”を密着させようと、両手の指を組む。

 そうやって、“氷姫”に流し込みながら、セレナは、より明確に───詳細にイメージをするために、無意識に俯いて眼を閉じた。

 そう────あたかも、祈りを捧げるかのように。

 そして、“氷姫”に刻まれた魔術陣に魔力が行き渡った、その瞬間────

「っ?!」

 手の中の“氷姫”から、瞼を透かしてしまうくらいの眩い光が迸って、セレナを呑み込んだ。セレナの身体を、光が浸食していく。

 身体が光にあまねく満たされたとき、セレナは妙な感覚に襲われた。

 それは、つい数時間前に経験したばかりの────自分を取り巻く空間が塗り替えられていくような感覚だった。

 リゼラから加護を授かった際、【魂魄の位階】が上がったことにより、【魔力感知】が技能として昇華されて────突然、自分の魔力だけでなく、周囲に漂う魔素をはっきりと認識できるようになった。

 あのときは────本当に、自分がいる空間が変わってしまったようだった。

 それが、もっと顕著になって、魔素を認識できるだけにとどまらず────まるで、感じ取れる範囲の魔素と同化してしまったかのような────手足のごとく、セレナの意思で動かせそうな─────

「!」

 セレナは、不意に魔術が完成したのを悟った。想定よりも、かなり速い。

 瞼を開けると、2頭の変異オーガは、ヴァイスが放った魔素の礫を弾いているところだった。

(今なら避けることはできないはず────!)

 変異オーガ2頭の足元を狙って、即座に発動させる。

 魔術は、地中の魔素をも巻き込み発動した。先程のように地面が波打つ間もなく、巨大な氷刃が土砂を撒き散らして飛び出す。

 セレナの魔力に加えて、地中の魔素も取り込んで造られた氷刃は、先程よりも大きさも規模も増していた。

 ヴァイスの魔法を対処していた変異オーガは、避けることができず串刺しとなった。

 串刺しにされて倒れ込んだ変異オーガの全身を、氷刃がさらに貫き────いかに生命力の高い魔物でも、絶命するしかない。

 しかし、それは1頭だけで─
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