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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#8
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よって規模は変動するけど、魔術の形態や規模を自在に変えることはできないらしい。

 だけど────この“氷姫”は違う。

 これらの魔術陣よりも“魔術式”に近いみたいで、氷系統という括りはあるが、魔術の形態も規模も決まりはなく、すべて使い手のイメージで決まる。

 これまでずっと、“氷姫”が無数の氷塊をぶつけるだけの魔術だと思われていたのは、どこかの時点でその伝承が途切れて────おそらく、セレナがそうだったように、代々の使い手が、先代の魔術を参考にしてきたからだろう。

 リゼラは、もしかしたら、“氷姫”はディルカリダ側妃が創ったものかもしれないと言っていた。

 ディルカリド家の始祖サリルの────【青髪の魔女】のために編み上げた魔術なのかもしれない、と。


 攻め寄せるカイバルス王国の大軍を瞬く間に氷漬けにして、たった一人で鎮圧したという────【青髪の魔女】。

 地面から生やした氷の槍で敵部隊を一瞬で串刺しにして、全滅させたこともあったという。

 もし、この“氷姫”が本当に【青髪の魔女】のために創られたものだとしたら────記述にある【青髪の魔女】が放ったという魔術が、この“氷姫”で発動したものだとしたら────セレナにもできるかもしれない。

(今までのように氷刃を降らせるだけでは、あの棍棒で弾かれる。でも、地面から────下からなら…?)

 この状況を打開できるかもしれない策を見出したセレナは、目線を上げた。ヴァイスの魔法を掻き消した変異オーガが、セレナを見遣る。

 セレナは、掌に集めていた魔力を握ったままの“氷姫”に流した。イメージする氷刃の形も規模も先程と同じにしたので、発動にそう時間はかからない。

 無数の氷刃がこちらへ近づこうとしていた変異オーガに向かう。変異オーガは、もう慣れたもので、難なく氷刃を弾き返していく。

 時間が惜しいセレナは、魔術陣が発動したことだけ確かめると、次の───先程思いついた魔術を発動すべく準備に入る。

 掌に魔力を集めて、“氷姫”に流し込む。

 籠める魔力量、規模は変えない。発動時間が長くなってしまっては意味がないからだ。

(形もそのままで、大きさは変えて────本数を少なくする代わりに、密集させて────発動する場所は、変異種の足元の地中…!)

 魔術を完成させたセレナは、ヴァイスの魔法を弾き終えた変異オーガたちの足元に発動させる。

 地面が波打ち、黒い棍棒に匹敵する巨大な氷刃が、土砂を押しのけて次々に飛び出した。

 しかし、地面が波打った時点で感づいたらしく、変異オーガに跳び退()かれてしまった。

 それでも、幾つかの氷刃が変異オーガの足を掠めて、ケガを負わせることはできた。

(避けられてし
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