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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#8
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狙って、もう一方の棍棒が振り下ろされる。

「ヴァイスさん…!」

(私のせいだ…!何とか────何とかしなきゃ…!)

 セレナは、吹き飛ばされても離さなかった短杖に魔力を流そうとして───止める。これでは間に合わないと思い、咄嗟に杖の先端部分を開けて魔術陣を取り出す。

 直接メダルに魔力を流せば、発動時間は短くできる。だけど、問題は規模だ。地下遺跡のときのようにただ少ない本数をぶつけても、あの巨大な棍棒には意味がない。

(さっきと同じ規模の魔術を、さっきよりも速く発動させる…!)

 リゼラは、自分で魔力を流すことで、魔術陣本来の威力を発揮できたのだと言っていた。【魔力操作】ができるようになった今なら、セレナにも同じことができるはずだ。

 セレナは掌に“氷姫”を載せて、しっかりと握った。そして、【魔力炉(マナ・リアクター)】から供給されるルガレドの魔力を掌に集めて、魔術陣へと一気に流した。

 “氷姫”から眩い光が迸って、セレナの正面に展開した無数の魔術陣から次々と氷刃が飛び出し───今まさに棍棒を振り下ろしている変異オーガに向かって飛んでいく。

 それに気づいたもう1頭の変異オーガが棍棒を振るったが、魔術の軌道上からずれていたために、すべては弾き返せない。

 ヴァイスを襲っていた変異オーガは、迫り来る氷刃を迎え撃つために、強引に棍棒の軌道を変える。

 その機を逃さず、ヴァイスは大きく跳び退って変異オーガたちから距離をとった。ヴァイスは着地してすぐに、魔法を放つべく、周囲の魔素を引き寄せ始めた。

 それに倣って、セレナが掌に魔力を流し始めたとき、視界の端を青い何かがふわりと過った。

 それは────後ろに流していた自分の髪の毛だった。

(髪が────青く染まってる…?リゼラさんが言っていたことは、本当のことだったの…?)

 セレナには自覚がなかったが────地下遺跡で“氷姫”を直接発動させたとき、セレナの髪色が青く変わっていたのだという。

 リゼラにそう聴かされ、何か心当たりがないか訊ねられたが────それまで一度もそんなことはなかったし、髪色が変わっていたらしいときも自覚がなかったために半信半疑だったのだ。

(青い髪────【青髪の魔女】…)

 手の中の“氷姫”に視線を落とす。


 リゼラは時間がない中、セレナの髪色が変わる原因について、できる範囲で検証してくれた。その際、この“氷姫”も分析してもらった。

 ディルカリド伯爵が所持していた魔術陣をリゼラが分析してみたところ、どの魔術陣も、“魔術式”に似通ってはいるものの、“魔術式”よりもかなり簡略化されているとのことだった。

 使い手の魔力量によって規模が自動的に決まるようで、使い手に
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