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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#7
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てしまうが────おそらく、身長は2mに届くくらいはある。そこだけを見ると何の変哲もないオーガだ。

 違和感を掻き立てるのは────その漆黒の毛色。濃淡はあれど、魔獣化しようが変異種となろうが、オーガは総じて茶色い毛色をしている。しかし、そのオーガの毛色は────変異オーガが持つ棍棒のような黒だった。

 黒いオーガは、まるで変異オーガたちを従えるように佇み、濁った眼でセレナを見ていた。感情が見えないその眼差しは冷たく、セレナをぞっとさせた。

「呆けている場合か、娘!来るぞ!」

 ヴァイスに叱責されて、セレナは我に返る。意識を変異オーガに戻すと、セレナの放った氷刃の最後の一本が棍棒によって薙ぎ払われたところだった。

 すかさずヴァイスが魔法を放つが、先程同様、どちらにも黒い棍棒に掻き消される。難なく障害を(はら)った2頭の変異オーガは、その大きな歩幅で以て、それぞれヴァイスとネロの眼前に立ち塞がった。どうやら、セレナは後回しのようだ。

「やはり、狙いは我とネロか」

 ヴァイスは、次の攻撃のために魔素を引き寄せながら、呟いた。

 いつの間にか起ち上っていたネロも、威嚇するようにその小さな身体を(しな)らせ、光を帯びた黒毛を逆立てる。

(いけない…!ネロさんの【索敵】が途切れたら、殿下やリゼラさんが戦況を確認できなくなる…!)

 短杖を握り締めると、セレナは意を決して────ネロの前に出た。そして、正面に佇む変異オーガを見据えて、背後に立つネロに振り返ることなく告げる。

「あのオーガは、私が何とかします。ネロさんは【索敵】に集中していてください」

 ネロは、数舜だけ、セレナの背中をじっと見つめてから────引き寄せ始めていた魔素を解放して、いつもの無邪気な声音で返した。

「わかった。それじゃ、セレナにまかせるね」
「はい…!」

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