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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#7
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纏ったかと思うと、ぶわり、と逆立ち────辺りに漂う魔素が、引き寄せられるようにヴァイスの許へと集っていく。

「?!」

 不意に、ヴァイスの正面に広がる空間が歪んだように見えて────セレナは眼を瞬かせた。

 それは決してセレナの錯覚などではなく────徐々に歪みは疑いようがないほど大きくなっていき、ついには裂けるようにして空間が割れた。

「っ!!」

 二対の濁った眼がこちらを向き、セレナは息を呑む。

 裂け目の向こうには────2頭のオーガがいた。それも、3mを超すほど巨大化した変異種だ。

 おそらく、今ディンドたちが相手にしているものと同じ────8頭いるオーガの変異種のうちの2頭に違いない。

 だが、これは一体どういう状況なのか。

(【転移門(ゲート)】のように、離れた空間を繋げている────ということ…?)

 2頭の変異オーガは器用にその巨体を屈めて、裂け目を潜り抜け────こちらへと身を乗り出した。

(まさか────こちらへ来るつもりなの…?!)

 セレナに戦慄が走る。変異種は魔獣よりも劣るとはいえ────間近で相対するとなると、セレナにとっては脅威には変わりない。

 変異オーガが足を地に着ける直前、ヴァイスが動いた。

 周囲に留めていた魔素を、変異オーガに向けて一気に放つ。幾つもの魔素の塊が、空を斬るように、変異オーガに向かって飛んでいった。

 それを目にして、セレナは冷静になる。

(今は怯んでいる場合じゃない…!)

 セレナは表情を引き締めると、短杖に魔力を流し始めた。きっと、この魔法だけでは、あの2頭の変異種を討ち取ることはできない。

(今のうちに、魔術の発動準備をしておかなければ─────)

 “氷姫”に魔力が行き渡ったのを感じて、セレナはあの2頭に放つ氷刃の造形に意識を集中させる。

 セレナの予感通り────2頭の変異オーガは裂け目を跨いでいる状態にも関わらず、それぞれ右手に持った黒い棍棒を振り回して、ヴァイスの魔法を掻き消してしまった。

()()()()()()か!厄介なものを…!」

 ヴァイスが、魔素を集めて次の魔法を放つより速く────変異オーガは、両足を跨がせ、こちら側へと踏み出す。

 2頭の変異オーガが、完全に裂け目から出て来た瞬間────セレナは、魔術を発動させた。

 セレナの眼前に、無数の魔術陣が浮かび、氷刃が次々と射出されて────変異オーガ2頭へと向かっていく。

 自分が放った無数の氷刃を眼で追ったセレナは、2頭の変異オーガの背後で、じわじわと閉じゆく空間の裂け目の向こう側を視界に捉え────眼を見開いた。

 そこには────変
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