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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#7
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もハルドも呆気にとられた。
日々の手合わせで、才覚がある子だとは思っていたが────ここまでとは。
(しかし────このままでは、いずれ行き詰まる。どうするべきか…)
2頭もの変異オーガを寄せ付けないアーシャの手腕は、確かに眼を
瞠
(
みは
)
るものではあるが、攻撃はできていない。
ディンドもヴァルトも、ケガをして動くに動けず、その上、剣を折られて攻撃手段がない。ハルドはまだ剣を折られてはいないが、巨大化した変異オーガを討つには技量が足りない。
攻性魔術を放つことも考えたが────まだ数えるほどしか発動してみたことがないだけでなく、発動も遅いディンドやヴァルトでは、素早く動き回るあの変異オーガにリゼラやジグのように巧く当てられるとは思えなかった。
下手をしたら、主たちの魔力を
徒
(
いたずら
)
に消費した上、アーシャの足を引っ張る破目になる。
(そもそも、あの棍棒は何だ?何故────リゼラ様に【
防
(
プロテ
)
衛
(
クション
)
】をかけてもらった剣を折ることができる?)
月明かりが逆光となって、変異オーガ本体の影に紛れて、よく解らなかった。形としては所々に凹凸がある歪な棍棒だ。
それに────まるで金属かと思うほど、やけに硬かった。
【
解
(
アナ
)
析
(
ライズ
)
】をかけてみても、情報が出てこない。
(古代魔術帝国の【
記録庫
(
データベース
)
】には、情報がないということか?)
あの棍棒について何か解れば、打開策が見つかるかもしれないのに────そう思うものの、どうしようもない。
(クソ────どうすればいい…?!)
ケガの痛みも相俟って、ディンドが焦燥に駆られたそのとき────不意に、左方向から何かが飛んできた。
それは空を斬り裂きながら、真っ直ぐ変異オーガの頭部へと向かっていく。それを危険だと判断したのか、左側の───ディンドの愛剣を折った変異オーガが、アーシャの白い双剣諸共、身体を後退させて避ける。
見えないそれは、そのまま飛んでいき、今度は右側にいた変異オーガに迫る。変異オーガは避けずに、アーシャが放った双剣ごと弾き返すべく棍棒を振るう。
アーシャの双剣は、例によって棍棒に当たる寸前で消え失せ────見えないそれは、棍棒によって掻き消された。
「ジャンナ」
アーシャは、変異オークに避けられ遠くに飛んでいった白い双剣を呼び寄せる。グローブをつけた掌に魔術式が浮かび、白い双剣が歪んで見えたかと思うと、魔術式に吸い込まれるようにして消えた。
2頭の変異オーガは、アーシャよりも見えない何かを放った者を警戒しているらしく、左方向に正面を向ける。
おかげで遮られていた月光が差し込み───先程までは逆光で影に沈んでいた棍棒が、ようやく明らか
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